農食環境学群(循環農学類・食と健康学類・環境共生学類)獣医学群(獣医学類・獣医保健看護学類)より広く学べる2つの学群、5つの学類
酪農学園大学 | 獣医学群・農食環境学群 > 全件表示 > ニュース > 高収益施設アスパラガス新技術研究会第2回セミナーを開催

トピックス

高収益施設アスパラガス新技術研究会第2回セミナーを開催

2015.12.22ニュース

NEWS NO.163(2015年度)

高収益施設アスパラガス新技術研究会第2回セミナーを開催

P1010124

 循環農学類の園田高広教授(農場生態学研究室)が代表者を務める寒地高収益アスパラガス経営研究グループは、農研機構の公募事業「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業」に採択され、「寒地における革新的技術を実装した高収益施設アスパラガス経営の実証」試験に取り組んでいます。

 12月18日(金)に中央館学生ホールで、これまでの研究成果を発表するセミナーを開催し、道内外のアスパラガス生産者、研究員、普及指導員、学生など約200名が出席しました。

P1010093-1
司会進行 NPO法人 八戸 三千男 氏
P1010001-1 まず、竹花一成学長が「園田教授を中心とする研究グループは、農研機構の公募事業を活用し、モミガラ温水ボイラーを用いた暖房システムの構築、フィールドサーバーシステムによる栽培管理システムの構築、新規参入者等への技術伝承の場の設定といった研究に取り組んでいます。本日のセミナーは、九州沖縄農業研究センターの渡辺慎一主任研究員による基調講演や、各関係者による実証研究の報告が行われます。有意義なセミナーとなることを期待しています」とあいさつしました。
竹花  一成 学長
P1010011-1 続いて、美唄市農業協同組合の岸定専務理事が、「美唄市内では、水田転作により昭和49年にアスパラガスの生産をスタート。一時は収穫量300トン、出荷額2億5,000万円と日本一の産地になりましたが、昭和61年以降、収量が減少し、一時は最盛期の三分の一まで落ち込みました。耐病性品種や立茎栽培を導入してきましたが、収穫期間の拡大、高単価、収量の安定が課題です。今回の研究成果をマニュアルにまとめ、普及を図ることで、管内のアスパラガスの生産振興を図っていきたい」とあいさつしました。 
 
美唄市農業協同組合  岸 定 専務理事

 次に、九州沖縄農業研究センターの渡辺慎一主任研究員が、「西南団地における高収益アスパラガス栽培技術」と題して基調講演を行いました。

 「西南団地に位置付けられる九州のアスパラガスの作付面積は8%ですが、出荷量は34%を占めており、「ハウス半促成長期どり栽培」により収量が多いのが特徴です。栽培管理のポイントは、①定植前に深く掘って堆肥を十分入れ、根域の伸長エリアを良好な状態にするとともに排水対策を行う ②大きな根株を養成するため、太目の若茎を1m当たり10本伸長させて親茎とする ③下枝は適切な位置で除去し、光合成産物の蓄積を十分に行う ④2重被覆などにより地温を上昇させて春芽の収量を確保することです。

 また、座ったまま移動・収穫できる作業用の台車の利用、親株は無摘心とし側枝は放任など、作業の省力化を図る新たな取り組みや、国産が品薄となり輸入が増える秋の供給力を強化する新作型の開発に取り組んでいます。

 北海道は、春と秋の気温が低いためハウス半促成長期どり栽培の収穫期間が短いですが、低コストで効率的な加温方法や炭酸ガス濃度を考慮した環境制御技術があれば、秋の収穫期間を延長でき、多収化の可能性はあると思います」。

P1010019-1

 九州沖縄農業研究センター

     渡辺 慎一 主任研究員

 続いて、園田教授が、研究のねらいや概要について紹介しました。

 「北海道のアスパラガスは消費者の評価は高いですが、露地栽培が中心で出荷期間が短く、単位当たり収量が低いのが現状です。このため、モミガラ温水ボイラーを用いた土中蓄熱暖システムの開発とデータに基づく栽培管理システムの開発を組み合わせ、収量アップを図ること、また、技術を実証するほ場を利用して、新規参入者への技術伝承を図ることが目的です。
P1010035-1 内山農園が技術の実証と伝承、㈱ソラールがモミガラ温水ボイラーの開発と実証、 ㈱CSソリューションがフィールドサーバーシ ステムの構築、美唄市農協が経営評価と技術普及を担当し、本学がコーディネートを行う体制で進めています」。                                                      

P1010032-1

酪農学園大学 循環農学類
園田 高広 教授

 その後、各関係者から研究成果を発表しました。

 「地域で多く産出されるモミガラを燃料とする温湯ボイラーを開発し、温湯を地下60cmに埋め込んだパイプを通して温水を回し、地熱を上げることでアスパラの成長を促す実証試験を行っています。空気暖房と比較してエネルギー効率が30%高いという結果が出ました。厚さ5cmの断熱材でハウスの外周を地下45cmまで覆った結果、より少ない燃料で加温することができました。夜間、室温が下がっても茎葉の温度は室温よりも高く、作物が結露することはありません。また、新たな埋設ヘッターによりエア抜きやシールパッキンの交換が不要となりました。生育環境は良好で、なおかつ大幅な省エネになりました」。

P1010042-1

㈱ソラール
荏原 裕一 事業部長

 「2年間、気温や地温、土壌水分、日射量などのデータを観測して、センシングシステムによる「見える化」に取り組み、アスパラガス栽培管理ソフトウエアを作りました。また、このソフトウエアと組み合わせ、ハウス側窓の開閉装置を制御するモジュールとモミガラ温水ボイラーの温水循環を制御するモジュールの2点を開発しました。初期費用は、おおむね50万円以内に収めることができました」。

P1010047-1㈱CSソリューション

庄内 道博 システム統括マネージャー

 「定植1年目は、適期から2か月遅れて定植しましたが、9月中旬以降に生育の違いが大きく現れました。10月初旬には実証区(温湯パイプで地中蓄熱暖房)・対照区ともに萌芽が止まったものの、実証区は親木の生育が進みました。2年目の収穫は実証区が早く始まり、夏芽の収穫も実証区が2週間ほど早く始まりました。収穫量は目標の1,500kg/10aには届きませんでしたが、実証区は1,155 kg/10aで対照区864 kg/10aを上回りました。以上のことから、革新的技術を用いた施設アスパラガス栽培の技術は有用な可能性を持っていると言えます」。

                                                                   

P1010059-1

内山農園
内山 裕史 氏

 「実証区の経費は減価償却費が大半を占め、対照区も同じでしたが、実証区では3年目以降、収穫期間の拡大が図られることにより、経営収支は改善されると考えられました。また、1年目、2年目ともに諸材料費が多くなりましたが、3年目以降は減少するものと思われました。実証区の労働時間が長かったのは、収穫期間が長かったためと考えられます。

  昨年、農協では5か年の農業振興計画を策定しました。アスパラガスについては単収を向上させ、農家の所得増をめざすこととしており、モミガラ温水ボイラーを利用した暖房システムとフィールドサーバーシステムの栽培マニュアルを作り、若手農家や新規参入者に提案し、普及していきたいと思います」。

P1010075-1

美唄市農業協同組合 農産園芸課

北藤 吉浩 課長

  研究成果発表後は、園田教授がコーディネーターとなり、渡辺氏、荏原氏、庄内氏、内山氏、北藤氏によるパネルディスカッションが行われました。モミガラ温水ボイラーや環境制御技術、栽培技術などに関する会場からの質問に答える形で、意見や情報の交換が進められました。

P1010111-1 P1010107-1 P1010104-1
P1010113-1 P1010114-1 P1010097-1
P1010080-1 P1010088-1 P1010091-1

P1010085-1P1010086-1




Recommended

sns sns sns