
取得学位 | 学士(獣医学) |
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研究室・ユニット名 | 獣医解剖学 |
研究キーワード | 雌性生殖器 不妊症 実験動物 |
形態学から明らかにする雌性不妊症の病因
研究の概要・特徴
不妊症の増加は、ヒトと動物に共通する社会問題です。ヒトでは、女性の晩婚化と共に雌性不妊症の患者が増加し、5組に1組の夫婦が不妊症に悩んでいます。獣医領域においても、乳牛の受胎率低下や採卵鶏の産卵障害発生率の上昇が、安定した食糧供給を脅かしています。この問題の解決に迫るべく、雌性不妊症の詳細な病態発生メカニズムを明らかにすることを目指しています。
女性の自己免疫疾患患者や、免疫バランスの崩れた動物は不妊症になりやすいことが知られており、これまでに“免疫異常と雌性生殖器の機能形態異常”の関連性を明らかにしてきました。具体的には、①自己免疫疾患を発症するマウスでは、排卵された卵子をキャッチし輸送する卵管のpick-up機能が低下すること、②pick-up障害には、卵管の炎症および線毛上皮の形態破綻が関与することを明らかにしました。
現在は、炎症と卵管線毛上皮の形態破綻をつなぐ分子病態を明らかにすべく、さらに詳細な研究を行っています。この分子病態が明らかになれば、雌性不妊症の新たな診断・治療ターゲットを見つけることができると考えています。
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)
【生命の誕生から支えられたOne World One Healthの実現】
本研究で得られた基礎的知見をヒトを含む哺乳類の不妊症診断および治療へつなげ、安定した畜産物の供給、希少動物の繁殖効率向上による生態系保全、さらには我が国の少子化への貢献を目指します。