大塚 浩通

獣医学類

大塚 浩通 おおつか ひろみち

教授

研究室番号
動物医療センター 203
取得学位 博士(獣医学)
研究室・ユニット名 生産動物病態学
研究キーワード 免疫 飼育管理

牛の感染予防のため免疫機能を高める飼育管理に関する研究

研究の概要・特徴

 牛に発生する感染症の多くは飼育管理内容の問題による免疫機能の低下に起因する日和見感染症であり、乳牛では乳房炎や子宮炎、子牛であれば肺炎や腸炎などが挙げられる。
 乳牛においては、周産期を中心として体調不良となった個体で分娩後に乳房炎や子宮炎を発症することが多い。これまでの研究から、健康な乳牛のうち3割程度は乳房内に細菌が検出されるものの、体細胞数が上昇することはなく健常乳である。細菌が検出された乳汁の体細胞のM1系マクロファージやTh1系リンパ球に係わる免疫因子が上昇しており、細菌排除のために生体が反応していることを確認している。一方で、代表的な周産期疾病である乳熱に罹患した乳牛では乳房炎の発症リスクが高くなることが良く知られているが、乳熱罹患牛では乳房内に遊走したマクロファージのサイトカインや抗菌因子量が低下しており、乳房における細菌排除反応の低下が乳房炎の発症に大きく関与していることを示唆している。これに対して、分娩前からの飼養内容を充実することによって乳熱の発生率を低減させるとともに、分娩後のリンパ球数の持続的な減少を緩和する効果が得られることから、分娩前からの乳牛の飼育管理の徹底が乳房炎の発症を低減させるものと考える。
 また子牛においては、ホルスタイン種に比べて黒毛和種において感染症の発生リスクの高いことは良く知られている。黒毛和種子牛の特徴として、γδT細胞が少ないことが挙げらる。子牛のγδT細胞は二次免疫器官に多く分布し、サイトカインの産生能が高いことから、免疫機能の未熟な子牛の免疫活性に係わっていることが示唆されている。この細胞が少ないことは黒毛和種子牛における免疫システムの特徴の一つであると考えられる。末梢血リンパ球は出生時の体重と正の相関性があり、妊娠末期において飼養不足する母牛が娩出した子牛では明らかに少ないこと、また飼養内容を改善することによって新生子牛のリンパ球数が高くなることから、新生子牛の免疫機能を高く維持するためには妊娠末期の母牛の飼養を充足することが必要であると考える。