山口 昭弘

食と健康学類

山口 昭弘 やまぐち あきひろ

教授 大学院酪農学研究科長

研究室番号
C8-301
取得学位 医学博士
研究室・ユニット名① 応用微生物学
研究キーワード ハスカップ アロニア 酵母・乳酸菌

微生物発酵による道産機能性小果樹未利用資源の活用

研究の概要・特徴

背 景: 本道を代表する機能性小果実ハスカップとアロニアの果汁は,本州方面での需要もありジュースなどへの利用が進んでいる。しかし,これらの搾汁残さ(果皮)は,依然,ポリフェノールなどの機能性成分が高濃度に残存するにも関わらず,決定的な有効利用法がないため,その多くは冷凍状態で保存されている貴重な未利用資源である。
目 的: 野生酵母,貴腐菌(Botrytis cinerea)およびマロラクティック発酵(MLF)植物性乳酸菌を用いて,ハスカップとアロニアの搾汁残さから食味と機能性に優れた新規の発酵食材を開発する。
特 徴:ポリフェノールと有機酸を高濃度に含む果汁に対して,本学構内をはじめ道内の地域に根ざした植物材料などから分離した優れた発酵能を示す独自の保有菌株を用いることで,ユニークなストーリー性と発酵特性が得られる。
効 果: ハスカップ果実のpHは低い(<3)が,貴腐発酵により4.5附近まで上昇し,独特の風味醸成に加え酵母によるアルコール発酵の効率が高まることで微生物汚染を回避する「貴腐ハスカップワイン」の安全醸造が可能となる。アロニア果皮は厚くザラザラとした不快な後味が残るが,貴腐発酵により果皮が可溶化し滑らかな食感を与えると伴に,刺激的な酸味のリンゴ酸がMLF乳酸菌によりマイルドな酸味の乳酸へと変換されることで食味も大きく改善される。このまま「アロニアMLF乳酸菌飲料」としても,あるいは酵母のアルコール発酵を組合せて「アロニアMLF乳酸菌ワイン」の醸造が可能である。

発酵による機能性小果実未利用資源の活用 発酵による機能性小果実未利用資源の活用
ハスカップ果皮と野生酵母のワイン ハスカップ果皮と野生酵母のワイン
アロニアMLF乳酸菌飲料の官能評価 アロニアMLF乳酸菌飲料の官能評価
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

搾汁残さなどの未利用資源を微生物発酵により,食味,食感,保存性や機能性を向上させる研究を行っています。大学構内をはじめ地域を代表する植物材料などから分離した独自の微生物ライブラリーが利用できます。様々な素材をご提供いただければ,その特徴を活かせる微生物種および発酵条件を検討します。これまで実際に製品化された開発品は「アロニアライム麦パウンドケーキ(笑くぼ)2020」,「赤ビートワイン(ばんけい峠のワイナリー)2020」,「はすかっぷクルゼイワイン(はすかっぷサービス)2021」および「ホエイ酒(田中酒造)2022」があり,現在,開発中の製品は「ハスカップ果皮パウンドケーキ」,「黒麹発酵アロニアグラノーラバー」,「黒麹発酵赤ビートチップス」,「赤ビート乳酸菌飲料」,「トマト麹味噌」「牧草乳酸菌の発酵乳」などがあります。