桐澤 力雄

獣医学類

桐澤 力雄 きりさわ りきお

教授 大学院獣医学研究科長

研究室番号
A4-302
取得学位 博士(獣医学)
研究室・ユニット名 獣医ウイルス学
研究キーワード ウイルス性感染症 予防 病原体の不活化

ウイルス性感染症の疫学、予防と病原体の不活化に関する研究

研究の概要・特徴

1.家畜、愛玩動物および野生動物を対象としたウイルス性感染症の研究
1)馬の雄と雌の生殖器に水疱や潰瘍を形成する馬媾疹ウイルスは、繁殖期に流行すると経済損失が極めて大きくなる。この病気の早期診断のためにインフルエンザで使用されているような簡易診断法を開発し、現在は予防のためにmRNAを用いたワクチン開発を進めている。
2)野鳥(ヒヨドリ、カラス)からは、新規のウイルス分離(それぞれ、レオウイルスとカラスポックスウイルス)に成功している。
3)猫に呼吸器症状を示すウイルスとして重要なネコカリシウイルスとネコヘルペスウイルスを罹患猫から分離して、ウイルスの病原性と遺伝子の相違との関連性を分子生物学的解析で検討している。
4)動物に対して病原性がないと考えられているフォーミーウイルスというレトロウイルスを馬から分離し、世界で2番目の論文報告を行った。現在、馬の系統(サラブレッド、中間種、重種等)と馬フォーミーウイルスの進化との関連性を分子遺伝学的に調べている。
5)九州のイノシシの肉を食した猟犬から豚を自然宿主とするオーエスキー病ウイルスを分離し、イノシシにオーエスキー病ウイルスが蔓延していることを明らかにした。日本の豚では、本病の撲滅活動が国策で進められ、ほぼ清浄化が達成されていることから、イノシシとの接触がないように飼養管理することの重要性を示した。

2.植物ミネラルを主成分とする機能水のウイルスに対する不活化作用の検証
1)これまで、研究室で保管しているウイルス株(約25種類)すべてに効果を示すことを明らかにした。この中にはSARS-CoV-2も含まれている。日本で最も重要な海外悪性伝染病である口蹄疫については、口蹄疫ウイルスを日本で検査できなかったのでベトナムの獣医研究所で検査を行い、抗ウイルス効果を確認した。
2)この植物ミネラルはカルシウムを主成分とするメゾ構造体という特殊な構造を持ち、これが病原体不活化に作用する。この作用機序の解明を進めている。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

1)ウイルス不活化試験
これまでに植物ミネラル機能水を始めとして、次亜塩素酸水などの抗ウイルス活性を調べてきて、評価をしてきた。
本学にはBSL3実験室があることから、SARS-CoV-2を対象にした新規消毒薬の検討も進めることができる。植物ミネラル機能水のように安全性の高いものであれば、環境保全に貢献できると考えている。

2)ウイルス性感染症の診断、疫学調査、病原体の検出等の手技を身に着けた人材の輩出
学生教育あるいは卒後教育等を通して、ウイルス性感染症の取り扱いに慣れた人材の輩出に貢献している。