北村  浩

獣医学類

北村  浩 きたむら ひろし

教授

研究室番号
B3-301

教員・研究室

取得学位 獣医学博士
研究室・ユニット名 疾患モデル学
研究テーマ 生体のストレス応答におけるマクロファージやユビキチン選択的プロテアーゼの役割の解明
学びのキーワード 脱ユビキチン化酵素マクロファージ生活習慣病炎症骨格筋視床下部生殖免疫
教育・研究への取り組み タンパク質は酵素やホルモンなどがあり、体の中でいろいろな役割を果たします。それぞれのタンパク質の量や活性は「ユビキチン化」という反応で調節されます。このユビキチン化を調節する「USP」という酵素は哺乳類では50種類以上ありますが、その役割は十分解明されていません。私はこのUSPと生活習慣病などの疾患との関係を調べています。特にマクロファージという細胞や骨格筋、脳神経での役割に興味を持っています。
受験生へのメッセージ 私の取り組んでいる基礎獣医学研究は患者/患畜を1人/頭ごと治療を目的とするのでなく、何万、何億という患者/患畜の疾患を克服するためのものだと思っています。特に獣医師はヒトに限らず幅広い動物種を知っているという点で、医学研究者と違った視野に立って疾患と向き合えます。ヒトの病気を理解するために獣医学を選ぶ。その選択肢もありだと思います。野心的な挑戦を一緒にしませんか?
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研究室探訪

研究シーズ

研究キーワード USP 遺伝子組換えマウス 生活習慣病
遺伝子組換えマウスを用いたUSP2の役割解明
研究の概要・特徴

ユビキチン選択的プロテアーゼ2は特定のタンパク質を安定化する酵素です。これまでの研究では、
①全身またはいくつかの臓器・細胞選択的にUSP2を欠損させると糖尿病になりやすくなる。
②マクロファージのUSP2は何らかの液性分子を介して精子に働き、凍結融解後の精子の活性を制御する。
③家畜の筋異常時にUSP2の発現が変化する。
④USP2の欠損はがんの発症に影響を与える。
などの知見を得ています。

この酵素の発現量や活性を変える化合物が見つかれば、糖尿病、がん、家畜の筋異常、家畜の繁殖などの問題の解決に貢献できるかもしれません。

私たちの研究室では、このUSP2の遺伝子ノックアウトマウス(全身、細胞選択的)やノックアウト細胞を有すると共に、これらを使用したエネルギー代謝の機能解析系を持っています。

USP2に関する我々の記した総説:https://www.mdpi.com/1422-0067/22/3/1209
USPに関する私の記した総説:https://www.mdpi.com/1422-0067/24/4/3219

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

1.USP2を発現している精巣マクロファージは、精子の凍結融解後の運動能を高める物質を分泌します。
①USP2欠損マウスと野生型マウスの分泌物を分析すれば活発な凍結精子を得るための生体分子が見つかる可能性がある。
②精巣マクロファージのUSP2の発現を高める化合物が見つかれば、その化合物で分離マクロファージを刺激した際に得られる培養上清で精子を予め処置すれば活発な精子が得られる可能性がある。
2.様々な臓器でのUSP2の欠損が糖尿病の発症を進めることから、これら臓器のUSP2の発現を高める材料を見つけることができたら、抗糖尿病の治療薬の開発に繋がるかもしれない。その際、その薬剤がUSP2を確かに標的としているかの評価に、我々の有する全身または臓器・細胞選択的USP2ノックアウトマウスは使用できるかもしれない。