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2017年度 学位記授与式における学長式辞

大学733名、大学院35名、計768名の皆さん、ご卒業、修了おめでとうございます。
お集まりの保護者、ご家族の皆様には入学から今日に至るまで、物心ともにご支援を賜り、心よりお礼申し上げます。本日2017年度学位記授与式にご参列頂きました学園関連の皆様にもお礼申し上げます。

今日この日、保護者の皆様のお手元に、成長したお子様を無事お返しすることができました。教職員一同、安堵とともに卒業生、修了生の皆さんの今日に至るまでの努力に対し心より敬意を表します。

さて、ほとんどの皆さんがこれから社会に出ていくわけですが、それは海に乗り出すようなこととよく言われます。海は穏やかで鏡のようなときもあれば、荒れて危険なときもある、これを人生に例えていることはご承知のとおりです。その海の中で皆さんがそれぞれ自分の役割を果たし、「あなたにしかできない事」をまずは見つけて下さい。皆さんが必ず社会のために役立って下さることを確信しております。

本学の建学の精神である「健土健民」は人類の不滅の思想です。今日よく用いられるOne Healthと近似する言葉です。これは健康な土の上にこそ健康な民が育つということです。健康とは身体そして心を示しています。その心の基にある思想ほど寿命の長いものはありません。記念で作られた銅像は時間が経てば必ず劣化してしまいます。大理石に刻まれた名前は摩耗して消えてしまっても、そこに刻まれた人の気高い思いと、けがれなき思いはいつまでも残ります。「身はたとえ花より早く朽ちるとも、想いと業は朽ちることなし」ということです。

昨年、本学に6ヶ月短期滞在していたタイの招聘研究者から、「C1号館入口右側の壁に書かれている言葉はどういう意味か」と質問がありました。この言葉は式次第の中にある「出会い」3ページの上に書かれています。壁には Tribulation produces perseverance; and perseverance, character; and character, hope. と英語で書いてあるので気になったのかもしれません。この言葉は新約聖書にある「ローマの信徒への手紙 第5章3b~4節」からの引用です。

タイの人々はほとんどが上座部仏教ですから、彼はこの聖書の言葉の意味を知りたかったのでしょう。日本語では「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む」という意味になります。言い換えれば「辛いことがあっても耐え忍んでいれば希望が見えてくる」となるのではないでしょうか。

私は彼に、「苦難のような一見否定的な経験さえも、希望という肯定的なものになりうる」という意味です、と説明しました。人生には楽しいこともつらいことも起こります。否定的にしか考えられない事柄をいかに肯定的なものに変えていけるか、そこに鍵があると私は思います。Characterとは性格、人格、特徴と一般的に訳されますが、意味するところはその人の土台、骨格です。外見でもすぐわかるその人の骨組、形それがCharacterです。すなわち、その人そのものともいえます。苦難があって、それに耐える中でCharacter、つまり人間として、その人が出来上がります。そうすると、その人が将来何かを実現する可能性、つまり希望が芽生えるということです。「希望なき忍耐はただ辛いだけですが、希望があれば忍耐は喜びになる」ということです。

私たち日本人はよく「無事」という言葉を使います。言葉どおりには何もないことです。それは良い意味で用いられます。つまり、「事」とは悪いことを指しているのです。「無事」は悪いことがない。逆の「有事」といえば、戦争などの危機的な状況をさしますから、「事」はやはり否定的な意味なのです。何も起こらない人生などあり得ません。何か問題が起きたとき、それをどのように解決するか、それにどのような態度で立ち向かっていくか、それが重要なのです。次々にいろいろな「事」が起こる中で、その荒波を乗り切っていく、それが生きるということ、希望を持つということではないでしょうか。もちろん、自分にとって大変な「事」が起こったとき、ひとりで抱え込んではいけません。信頼できる人に相談して下さい。この大学、皆さんの母校はいつも皆さんの味方だということを覚えておいて下さい。自分ひとりではどうしようもないことは、我々教職員をどうぞ頼って下さい。必ず問題を解決できるかは約束できませんが、必ず一緒に解決策を考えることは約束できます。

大学という所は、卒業したら終わりというものでは決してありません。大学は在学生、教職員、卒業生、そしてステークホルダーによって成り立っているのです。卒業生の皆さんはこれからも一生涯、酪農学園の一員です。一緒に苦難を克服し、共に希望を実現化する仲間なのです。

仕事を始めると今まで以上に頑張らなければならない部分も増えてくるでしょう。それは決して悪くはありません。自分の限界を超え、高みを目指すことは成長につながります。でも、自分がこわれるまで頑張ってはいけません。こわれる前に皆さんのふるさとのひとつである本学に戻ってきて、態勢を整えてから、再度海に漕ぎ出して下さい。そのように疲れた時にこそ頼れる場所・時間が全国にあります。それが酪農学園同窓会です。先日、島根県支部が発足し、ついに我が同窓会は全都道府県に設置されました。基本的に年に一度皆が集まり同窓会活動を行っています。そこではなぜか心休まり、心温まる時間を得られます。それはこの地で勉強し生活した仲間である同窓生と共に時間を過ごせるからです。それが明日からの糧に必ずなります。

私は常に、「専門家である前に人であれ」と皆に言っています。どのような時も人間として周囲の方への感謝の気持ちを忘れず、本学の建学の精神を世に広める伝道者として活躍して下さい。肝要なのは「自分と自分の人生にどれだけ胸を張ることが出来るか」ということに尽きます。皆さんには出来ます。なぜならここで皆さんは育ったからです。皆さんの活躍を教職員一同、この地よりしっかりと見守っています。私たちも皆さんに恥じることのない大学としてより一層成長することをお約束し、祝辞と致します。

2018年3月16日
酪農学園大学
学長 竹花一成




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