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2018年度 入学式における学長式辞

皆さん、ご入学おめでとうございます。

礼拝形式の入学式に少し驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。本学は精神教育の基本理念をキリスト教の聖書に置くとされています。それは、キリスト教を信じなさい、ということではなく、聖書に学びましょう、ということです。決して信仰を強制するものではありません。

私立大学にはその存在を明確に表す「建学の精神」があります。
我々の建学の精神は「三愛精神」です。それは、神を愛し、人を愛し、土を愛する、ということです。この三愛精神は、本学での学びの中でじっくりと時間をかけて身体に染みつくことと思います。安心して下さい。

三愛精神の提唱者である本学創立者、黒澤酉蔵先生は、国土を守るためには有畜農業を理想としました。牛が草を食べて牛乳を出し、それによって人が恩恵を受けるというような形態です。このような形態は、江戸時代までは日本にありませんでした。そこで、黒澤先生はデンマークをひとつのモデル、そして目標としたのです。デンマークは今でも幸福度を含む様々な国際指標で上位にある国で、この国の理念も聖書に由来します。

そもそも聖書が生まれたパレスティナも、キリスト教文化圏である欧米も、牧畜の大変盛んな土地柄でした。有畜農業が前提で、それにぴったり合った思想がキリスト教だったわけです。黒澤先生も聖書には学ぶべき何かがあると考えました。それは、日本の思想や宗教を捨てるということでは決してありません。しかし、自分の思想を相対化し、客観視することは常に必要です。そういったメタレベルでの認識能力や論理的思考力を鍛えることが、大学で学ぶ際の中心的意義といっても過言ではありません。もちろん農学・栄養学・獣医学・動物看護学・環境学といった幅広い実学(専門性)を学べるのが本学の特徴ですが、同時にメタレベルの視野を獲得することも必要です。そのためにも、皆さんにはいろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。常に高い志と目標を持って下さい。それに向かえば必ず成長できます。そう断言できるのは私もその道を通った本学の卒業生だからです。この大学に育てられた人間の一人だからです。

今から44年前に皆さんと同様、不安な気持ちの中で式に参加していました。今でもそのときの事をはっきりと覚えています。大変寂しく心細く、何をして良いかも全くわからず、ゼロからの出発でした。しかし、それが私の人生の大きな一歩になったことも明らかです。

「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」これは江戸時代の米沢藩の名君上杉鷹山(ようざん)の言葉です。「やればできる、何だってやらなきゃ出来ないよ」ということです。「やりゃ出来るよ」、この後の言葉は「成らぬは人の為(な)さぬなりけり」です。「出来ないのはやらないからだよ」ということです。皆さんはそれぞれの夢を持ち、それをかなえるために酪農学園大学に入学したのです。アントニオ猪木氏は「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足(ひとあし)が道となり、その一足(ひとあし)が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ」と言っています。多くの人に勇気を与えた素晴らしい言葉です。でもなかなかそうはいきません。迷っても良いと私は思います。しんにょうに「米」と書いて「迷う」です。しんにょうは道を表しますが、米という字の横に道が四方八方に伸びていて、どの道を選んだら良いかわからない。それが「迷う」です。迷って迷って失敗しても、それを乗り越えていくと迷った数だけ多くのお米が積み重なります。それが人生の糧となります。迷いが人生の糧となって道が拓けるのです。後で考えたら、「あの時は大変迷ったけれど、米粒みたいにちっちゃなことだったね」となります。

大学は、新たな環境で、生まれ育ちが異なる多くの人と共に一歩前に歩み出す「出会いの場」です。後の私の人生の起点となったであろう「目的意識の高い人との出会い」の場で、自分の考え方に変化、刺激を持たせてくれた場所でした。自分と考え方、生き方が異なる方とまずは話してみて下さい。手始めにまずは右横の方と挨拶してみて下さい。握手してみて下さい。話してみて下さい。今度は左の方と挨拶してみて下さい。何か変わりましたか? そう、一歩前に出たのです。

さて、皆さんは自分とはいったい何かと考えた事はありますか?それは「親から受け継いだ身体と能力」です。身体は自分では変えることの出来ない事実、それが「個性」というもので、自分の形、骨格、土台です。能力は変えることが出来る事実、それを成長させる努力こそが自分の能力です。能力とは自分がどのようなことを思い、考え、感じるかです。どのようにでもなります。これらは全て「脳」によって決定されますが、脳の機能を訓練することはいつからでも出来ます。その意味でこの大学は、人との出会い、学問との出会い、興味等の出会いと共に「脳を鍛え、耕す」時間を提供してくれました。

私は、教育とは教職員が皆さんの「興味」、「やる気」をいかに引き出すかということであると思っています。興味とは、自分が無理せず続けられることで、人生の全てに通じています。興味を見つければ「やる気」も当然出てきます。

これからの人生の中で皆さんは自分の方向性を定める時が必ずやってきます。その時に備えて今からしっかり時間をかけ、興味を見い出すために、皆さん自身が「脳を耕す」のが今からです。そして、これからの皆さんの「挑戦」を多方面で協力してくれるのが教職員です。皆さんより人生経験の貯えが多い教職員にいろいろと頼ることは自然なことです。教職員は、皆さんのこれからの人生をサポートするために大学で働いています。それが仕事です。どうぞ十分に活用して下さい。

最後に、私は常に学生に「専門家である前に人であれ」と言っています。今の自分がいる環境全てに対し、感謝の気持ちを忘れず、一日一日を大切に過ごして下さい。在学中にいろいろなことを試し、脳に最大限のチャンスを与え「耕し」、立派に成長されることを見守ります。

今日ご出席頂きました保護者・ご家族の皆様、誠にありがとうございます。今日この時よりお子様をお預かりいたします。本学で人としての確実な成長をお約束いたしますので、皆様のお手元に帰る日を今から楽しみにしていて下さい。

2018年4月6日
酪農学園大学
学長 竹花一成




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