なぜふん尿の利用計画が必要なのか

1. 乳牛のふん尿は,作物にとって大切な養分源です。牧草やトウモロコシなどの生育に必要な養分をふん尿でまかなうと,化学肥料を節約できるだけでなく,土−飼料作物−牛の間での養分循環が成立し,持続的な酪農が実現できます。
2. しかし,ふん尿に含まれる養分は,作物に必要な養分をバランス良くすべて含んでいる訳ではありません。ふん尿の養分を利用してもなお,作物に不足する養分は,化学肥料で補わなければなりません。しかし,その場合,どんな化学肥料をどのように補うかということを知るには,複雑で面倒な計算を必要とします。
3. さらに,どの圃場にどのくらいのふん尿を利用するかということを計画的に実施しなければ,施与したいと思っていた圃場のすべてにきちんとふん尿を施与しきれない場合が出てきます。逆に,施与量を少なくしていると,各圃場にふん尿を施与した後でも,予想以上にふん尿が余ってしまい,そのため,最後のほうに施与する圃場では,なかばふん尿の捨て場所のように,ふん尿を過剰に施与しなければならないといった事態も出てきます。
4. 施与しきれなかったふん尿をたれ流しにしたり,ふん尿を草地や畑に過剰に与えたりすると,ふん尿からあふれ出る養分が,周辺環境を汚染してしまいます。ふん尿に由来する環境汚染を最小限にするためには,どのくらいの量のふん尿を,どの時期に施与するのが適当であるかを考えなければなりません。
5. このようなことから,一戸の酪農場に数多くある圃場の一つ一つに対して,ふん尿をどのように施与するのかという「酪農場全体としてのふん尿の利用計画」をきちんと立てることが,ふん尿に由来する環境汚染を最小限にくいとめるだけでなく,貴重な養分源としてのふん尿を有効に利用するために必要となるのです。