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日本景観生態学会で、環境共生学類の上原裕世さんが論文奨励賞を、本間詩織さんがポスター賞を受賞

2016.11.07ニュース

NEWS NO.134(2016年度)

日本景観生態学会で、

環境共生学類の上原裕世さんが論文奨励賞を、本間詩織さんがポスター賞を受賞

環境共生学類のPDフェロー・上原裕世さん(野生動物保護管理学研究室・吉田剛司教授)が発表した原著論文が、日本景観生態学会の2016年度論文奨励賞を受賞しました。この賞は、学会誌『景観生態学』に発表された論文の中から、景観生態学における学術・技術の進歩、発展に寄与し、独創性と将来性に富むものと認められた若手研究者に授与されます。

また、酪農学研究科修士課程2年の本間詩織さん(同研究室)が、7月8日(金)から10日(日)まで本学で開催された「日本景観生態学会 第26回北海道大会」において、ポスター賞を受賞しました。

 

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(左)本間詩織さん (右)上原裕世さん

 

上原さんが発表した論文は、「エゾシカ(Cervus nippon yesoensis)の高密度化により林床植生の改変した森林景観におけるヤブサメ(Urosphena squameiceps)の繁殖適応」です。エゾシカが高密度に生息していることにより、林床植生(森林の地表面の植物)が著しく変わった洞爺湖中島において、もっとも適応して繁殖している鳥類である、地面に巣を作るヤブサメに上原さんは着目しました。適応の要因を探るため、4月から7月まで、80カ所の地点において、ヤブサメのさえずりを録音するとともに、植物の種ごとの高さと被度(地表を覆っている割合)を測定しました。

その結果、植物の高さと被度が大きいほど、さえずりの回数も多いという相関関係が認められました。ヤブサメは繁殖期に頻繁にさえずることから、エゾシカが食べ残す嗜好性の低い植物がシェルターとなって、ヤブサメに繁殖適地を提供していると考えられました。エゾシカによって林床植生が変わっても、ヤブサメのような地面に巣を作る鳥類は、エゾシカの好まない植物が茂る場所では生活環境に大きな変化がないと推察されました。

 

p1350907-1○上原裕世さん

「この研究のために、洞爺湖中島の80カ所で10回ずつ、合計800回の測定を行い、ヤブサメのさえずりを聞きました。時間と手間が非常にかかる地道な作業で、それが報われたことをとてもうれしく思っています。苦しいときに、絶対に面白い研究だから頑張れと励ましてくださった、吉田先生のおかげです。この鳥類の研究から、エゾシカの食害から環境をどうやって回復していくかを、探ることができるのではないかと考えています」。

 

本間さんが受賞したポスター発表は、「北海道の人工的な湿地景観における外来種トノサマガエルの繁殖時期の解明」です。トノサマガエルは本州に生息し、準絶滅危惧種に指定される一方で、北海道では国内他地域から持ち込まれた「国内外来種」であり、繁殖して在来種に強い影響を及ぼしています。本間さんは、北海道でのトノサマガエルの繁殖時期をつきとめることによって、卵を除去してその数を減らすことができると考えました。4月から10月半ばまで、トノサマガエルが生息する3カ所の人工的な湿地景観において、鳴き声を録音し、繁殖期のオスの鳴き声「メイティングコール」を解析しました。その結果、本州では5~6月が繁殖期ですが、北海道はそれよりも早く、4月下旬ごろから繁殖していることをつきとめました。

 

p1350905-1○本間詩織さん

「北海道が本州よりも繁殖期が早いというのは意外な結果で、北海道は雪解け水が発生することから、産卵に適した環境がより早く作られるためと考えられます。この研究のために、約30時間の音声データからカエルの声を聞き続けていました。今後は、気象庁の気温や日照時間、降水量のデータに、水温データも付け加えて比較し、繁殖が始まる要因をさらに精査したいと考えています。

研究調査地のひとつである平岡公園では、子供たちを集めた自然観察会を、月1回、8年間実施しています。そこでは、カエルを観察するのは大切な体験ですが、むやみに捕獲したり、他の場所に捨ててはいけないと伝えています。そうした活動の積み重ねも、環境を守るためにとても大切なことです」。



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