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洞爺湖生物多様性フォーラム2017―いま、洞爺湖の生命と環境を考える―を開催

2017.03.07ニュース

NEWS NO.203(2016年度)

洞爺湖生物多様性フォーラム2017―いま、洞爺湖の生命と環境を考える―を開催

2月19日(日)に虻田郡洞爺湖町の洞爺湖文化センターにおいて、本学環境共生学類が洞爺湖地域で実施してきた実習や研究調査の成果を地域の方々へ報告するためのフォーラムが、本学と洞爺湖町の共催により開催されました。酪農学専攻修士課程2年の本間詩織さん(野生動物保護管理学研究室)の司会により、本学教員や学生による講演が行われ、本学類の学生や洞爺湖町に就職した本学OB・OGのほか、洞爺湖町役場や地域住民の方など約80名が聴講しました。

はじめに、真屋敏春洞爺湖町長より開会のご挨拶をいただき、これまでの大学との協働の振り返りと、今後の更なる連携強化についてお話いただきました。

 

基調講演では、本学類・環境地球化学研究室の吉田磨准教授が、2016年の日本計画行政学会 計画賞優秀賞の受賞を記念して、「洞爺湖における酪農学園大学の自然環境保全に関する活動」と題して講演しました。

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●環境地球化学研究室 吉田磨准教授の発表

「洞爺湖における酪農学園大学の自然環境保全に関する活動」


本学と洞爺湖町が2009年に地域総合交流協定を締結して以来、多くの教員や学生が洞爺湖地域においてフィールド実習や卒業論文、修士・博士論文の調査研究の実施や、地域行事への参加など、さまざまな活動を展開してきました。さらには卒業生が洞爺湖町に就職するなど、大学地域間連携の継続性の担保が、学会において高く評価されたことを報告しました。

 

続いて、学生研究報告の第一部として、地域の観光と生物多様性保全をテーマに、2名の学生が卒業研究論文として扱った課題の成果を報告しました。
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●野生動物保護管理学研究室4年 青木耀さんの発表

「洞爺湖における地域活性化のためのHPとSNSの作成―支笏洞爺国立公園の月浦森林自然公園での事例―」


地域の身近な自然公園管理の在り方として、人の利用が低下しすぎることが、荒廃を招く場合があります。これまで野生動物保護管理学研究室では、洞爺湖の西部にある「月浦森林自然公園」の宣伝と利活用促進を目的としてパンフレットを作製してきましたが、次なる段階として、海外からの観光客の人も手軽に楽しめるよう同自然公園のホームページやSNSを開設したことを紹介、報告しました。今後は洞爺湖町とも連携した運用が期待されます。

 

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●野生動物保護管理学研究室4年 兼堀穂奈美さんの発表

「洞爺湖における2つの異なる捕獲期間によるウチダザリガニの体サイズ比較」


2005年に洞爺湖での生息が確認された特定外来種のウチダザリガニは、これまで地域主体での継続的な捕獲が実施されてきました。近年、分布域の拡大に伴って捕獲範囲を拡げてきましたが、1個体あたりの重量が増加していることが疑問視されていました。兼堀さんは、長年重点的に捕獲が実施されてきたエリアと分布域の先端でウチダザリガニを捕獲し、体サイズや重量の比較を行った結果、分布域の先端の個体は有意に大きいことを明らかにしました。大型個体は移動能力も高く、今後は更なる分布拡散を防ぐための対策が緊急の課題であることを報告しました。

 

さらに学生研究報告の第二部として、洞爺湖中島に生息するエゾシカを研究対象とした2名の学生が、卒業研究論文の成果を報告しました。

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●狩猟管理学研究室4年 渡邊拓真さんの発表

「夜間における光照射はエゾシカの逃走行動に影響するか」


エゾシカによる農林業被害が常態化するなか、平成26年に鳥獣保護管理法が施行され、一定の条件下で夜間の銃猟捕獲が可能となりました。夜間における適切な捕獲手法の検討が必要とされるなか、渡邊さんは洞爺湖の中央に位置する中島において、これまで研究事例のなかった光照射とシカの逃走行動に関する研究を行いました。シカは光量の違いよりも、照射された距離に応じて逃走開始時間が決まる可能性が示唆され、今後の待機型の誘因捕獲において有益な情報が示されました。

 

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●狩猟管理学研究室4年 西村優章さんの発表
「ハイシートの使用はエゾシカの警戒心を上昇させるか?」


増えすぎたエゾシカの個体数調整は、これまで主として一般狩猟の強化によって実施されてきましたが、シカは忌避学習などによって行動を変化させるため、目標とする個体数レベルに至っていません。今後も個体数を減少させるには新たな手法が必要となることから、西村さんは欧米で一般的に用いられている「ハイシート」の効果を中島において検証しました。餌場を設けてハイシート上から観察したところ、下での観察に比べて多くのシカが餌場に出没することが確認され、シカの警戒心を低下させる可能性が示されました。

 

各講演後に設けられた発表者に対する質問時間では、洞爺湖や周辺地域の方から多くの質問が寄せられ、地域の自然環境の保全や研究成果の今後の応用に向けた熱心な議論が、時間いっぱいになるまで交わされました。

 

最後には、環境共生学類長の吉田剛司教授より、洞爺湖周辺の生物多様性保全と地域産業振興の両立に向けた総括講演が行われました。

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●野生動物保護管理学研究室 吉田剛司教授

「洞爺湖地域の生物多様性保全と地域産業」


豊かな自然を有する洞爺湖は温泉観光地としてだけでなく、地域が実施するウチダザリガニ対策は学術的な面からも非常に意義があり、2015年に開催された第5回国際野生動物管理学術会議(開催地:札幌)の公式エクスカーションにおいて、洞爺湖で実施されたG8野生動物サミットにおいてモデル事例としての高い評価と継続の推奨を受けたことを報告しました。また、今年度に日本景観生態学会のエクスカーションが洞爺湖で開催された際にも、地域の志を理解した上でのウチダザリガニ防除の取り組みの見学、専門性の高いジオパークツアー、地域の農作物をふんだんに提供していただいた昼食などは、全国から集まった研究者から非常に高評価を得たことを伝え、洞爺湖の豊かな農業・漁業・食・環境の共存は今後の地域振興において欠かせないことを強調しました。

 

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会場の洞爺湖文化センター

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聴講者からの質問

 

 



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