本学獣医学類6年の山本翔太さんが第7回乳房炎サマーキャンプポスター発表の部で最優秀賞を受賞しました。

Date:2024.01.15

NEWS No.76(2023年度)
本学獣医学類6年の山本翔太さんが第7回乳房炎サマーキャンプポスター発表の部で最優秀賞を受賞しました。

 

 

<受賞演題>

Mycoplasma bovisのバイオフィルムが薬剤耐性機構に及ぼす影響」

<研究概要>

バイオフィルムは一部の細菌が細胞外に形成する、多糖類などからできた壁のような構造です。細菌が薬剤に対する抵抗性を獲得したり、生体内で免疫から逃れたりする手段の一つであることが広く知られています。ウシの乳房炎の主要な原因菌の一つであるMycoplasma bovisもバイオフィルムを産生することが明らかになっており、バイオフィルムがその治療の難しさに関与していると指摘されてきました。
一方でM. bovisが形成するバイオフィルムが実際に薬剤耐性へ影響を及ぼしているのかという点に関する研究は多くありません。本研究ではバイオフィルムの形成量と、臨床的にも用いられる抗生物質であるエンロフロキサシン耐性の強さの関係の評価、およびM. bovisのバイオフィルム形成を増大させる因子の解明を試みました。
結果、バイオフィルム形成量とエンロフロキサシン耐性には有意な正の相関があることが明らかになり、関連があることが示唆されました。また、M. bovisのバイオフィルム産生量の増加には細胞外に分泌される、フィルター濾過性の物質が関与していることが示唆されました。

<受賞コメント>

 

今回このような形で私の研究を評価していただけたのは、ひとえにご指導いただいた樋口教授、権平准教授をはじめとする研究室の先生方のお力添えのおかげです。心より感謝申し上げます。
このテーマは研究室に所属して2年間取り組み続けた研究内容であり、受賞が決まった際には演壇でのコメントも思いつかないほどに心から嬉しい思いになりました。
M. bovisによる感染症は現在でも酪農業・畜産業における大きな問題です。もし、この研究で明らかにできた点が今後の研究進展の一助となれば、私にとってこれ以上ない喜びです。

<担当教員からのコメント>

樋口教授:マイコプラズマの病原因子に関する研究で、今、最も注目されているバイオフィルムからのアプローチです。ワクチンや様々な予防技術の構築につながるものであり、さらなる研究の進展を期待しています。
権平准教授:聴衆にわかりやすく上手にプレゼンしていました。この経験を糧に卒業後も頑張って欲しいです。