本日、農食環境学群ならびに獣医学群へ入学された615名の学類生の皆さん、そして酪農学研究科ならびに獣医学研究科へ進学された29名の大学院生の皆さん。ご入学、誠におめでとうございます。教職員を代表し、学長として心よりお祝いを申し上げます。また、今日までお子様の成長を深い愛情をもって支えてこられた保護者、ご家族の皆様に対しましても、深く敬意を表するとともに心よりお祝い申し上げます。
さて、新入生の皆さん。あらためまして、酪農学園大学へようこそ! 私は本学の学長ですが、皆さんと同じこの学び舎の卒業生でもあります。1990年に入学した「同窓の大先輩」として、今日は少し先を歩く立場から熱いエールを送りたいと思います。
今、皆さんはどのような思いでこの席に座っているでしょうか。希望に燃えている人、様々な巡り合わせから進学した人、そして遠く親元を離れ、初めての北海道生活に不安で胸がいっぱいになっている人もいるでしょう。
ここで一つ、皆さんに提案があります。 今、隣に座っている人の顔を、少しだけ見てみてください。そして式が終わったら「どこから来たの?」と、ぜひ声をかけてみてください。 期待と不安をごちゃ混ぜに抱えたその人は、生涯にわたって付き合っていく「親友」になる可能性が極めて高い人です。なぜなら、皆さんが「農業・食・環境・動物」という命の根幹に関わる分野を選び、同じ志を持って、はるばるこの酪農学園大学に集まってきたという強烈な共通点があるからです。 私自身、今年で卒業からおよそ30年の節目を迎え、当時の獣医学科の同級生たちと本学で再会する予定です。この北の大地に引き寄せられた仲間との絆は、皆さんが想像する以上に深く、一生の財産になります。心配はいりません。肩を寄せ合い、共に歩み出しましょう。
今の世の中は、AIやロボットが爆発的に進化する激動の時代です。スマートフォン一つで多くのことが完結する便利なデジタル社会になりました。 しかし、いくらAIが賢くなっても、人間はバーチャルな「データ」を食べて生きていくことはできません。私たちが生きるためにはリアルな「食」が必要であり、それを育む「土や環境」、共に生きる「動物」たちの存在が不可欠なのです。
本学の建学の精神「三愛精神(神を愛し、人を愛し、土を愛す)」と「健土健民」という理念は、創立者・黒澤酉蔵先生が残したものです。これは現代のSDGsや「ワンヘルス」という最先端の概念を先取りした普遍的な真理であり、本学は90年以上前からそれを実践し続けてきました。世の中がどれだけデジタル化されても、皆さんが学ぶ「命と食と環境のリアル」は絶対にAIには代替できません。皆さんはこれからの時代において、最も価値が高く、必要とされる最前線の学問に飛び込んできたのです。
そんな皆さんに、各学類・研究科への期待を込めてエールを送ります。
循環農学類、食と健康学類、そして農環境情報学類の皆さん。 農業や食産業は国の根幹です。日本の人口減少や農業の高齢化という課題は、見方を変えれば「革新の大チャンス」です。AIやスマート農業を駆使し、新しい食の価値を創り出すのは皆さんです。私は、スマートでワクワクするこれからの農業を、楽しい農業と書いて「楽農(らくのう)」と呼んでいます。ピンチをチャンスに変え、日本の食を背負って立つ「楽農」のイノベーターになってください。
環境共生学類の皆さん。 気候変動や野生動物との軋轢など、地球規模の課題は待ったなしです。自然界のあらゆる命と環境のつながりを俯瞰し、「ワンワールド・ワンヘルス」の広い視野で、人と自然がどう共生していくべきか。その答えをこの広大なフィールドで探し出し、世界へ発信してください。
獣医学類の皆さん。 皆さんは「動物の命と健康」を守ることを通じ、人間の福祉や公衆衛生も支える崇高な職域を目指します。6年後の国家試験への道のりは厳しく、大学入学はゴールではありません。命を預かる真のプロフェッショナルを目指し、覚悟を持って日々の学びに食らいついてください。ちなみに、私が担当している科目はかなり難しいので注意してください!共に頑張りましょう!
獣医保健看護学類の皆さん。 愛玩動物看護師が国家資格となり、獣医療の現場は転換期を迎えています。本学では獣医師と同じ目線で専門的なカリキュラムを学びます。ただ指示を待つのではなく、獣医師と肩を並べて意見できる高度なスペシャリスト、チーム医療の牽引役として、この資格の社会的地位を自らの手で高めていってください。
そして、大学院(酪農学研究科・獣医学研究科)へ進学された皆さん。 今日から皆さんは、答えのある「勉強」を終え、誰も答えを知らない「研究」の世界へ足を踏み入れます。単なる知識の暗記ではなく、「なぜそうなるのか」という現象の裏側にあるメカニズムを解き明かす探究です。自ら予想を立てて証明し、未知の事実を発見したときの感動は、「勉強とは問題を解く技術だ」というこれまでの価値観を劇的に覆すゲームチェンジになるはずです。純粋な探究心を胸に、専門分野の最前線で新しい知を切り拓いてください。
さて、保護者ならびにご家族の皆様におかれましては、お子様のご入学、誠におめでとうございます。今後数年間にわたり、学業・生活面におきまして多大なるご支援を賜ることとなります。本学は皆様とともに大切なお子様の成長を心より願い、創設以来培ってまいりました三愛精神を基本とする教育資源を最大限に活用し、社会に貢献し得る人材育成に全力を尽くしてまいります。何卒、本学への格別のご理解とご支援をお願い申し上げます。
最後になりますが、もし「この大学は第一志望ではなかった」という人がいても、全く気にする必要はありません。人間の価値や人生の豊かさは、高校の偏差値で決まるほど底の浅いものではないからです。 先日もあるニュースで、第一志望の学校に入れなかった生徒が「なぜそうなるのか」という本質的な探究に出会って自らの殻を破り、“地球レベルの視座”を持って劇的な成長を遂げたという記事を目にしました。 この広大なキャンパスにも、皆さんが本質的な学びに没頭し、挑戦できるチャンスが数え切れないほど転がっています。たくさん挑戦し、そしてたくさん失敗してください。多次元的に物事を実行する「多元実行」の精神で、失敗から多くを学び、また立ち上がれば良いのです。我々教職員は、失敗して泥だらけになった皆さんを全力でサポートし、共に並走します。
今日からの日々が、皆さんにとって人生で最も濃密でワクワクする冒険の始まりとなることを祈念し、歓迎の式辞といたします。
本日は、本当におめでとうございます!
2026年4月6日
酪農学園大学
学長 岩野 英知
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