【プレスリリース】本学獣医学類の北村浩教授が血糖値を調節する脳の酵素を発見

Date:2022.05.11

本学獣医学群獣医学類の北村浩教授、藤本政毅助教と2021年9月に大学院獣医学研究科獣医学専攻博士課程を修了した橋本茉由子さん(現大阪大谷大学助教)と、北海道大学、大阪大谷大学の共同研究グループが間脳視床下部の神経細胞で発現するUSP2という酵素が血糖値を調節することを見出し、米国神経科学会(Society for Neuroscience)の機関誌であるThe Journal of Neuroscienceに研究成果を報告しました。

平成28年度の厚生労働省の調査に依れば、全国で1,000万人は糖尿病が強く疑われているとされます。糖尿病は腎不全や動脈硬化症など他の生活習慣病のきっかけとなる疾患であり、日常生活で上手に血糖値をコントロールするかがヒトの医療のみならず獣医医療においても問題となります。研究グループはUSP2が視床下部の神経細胞に蓄積する酸化ストレスを軽減することで、交感神経の活動を抑え、通常生活における血糖値の上昇を抑えることを明らかにしました。   北村 浩教授のコメント これまで私たちは主に脂肪組織や肝臓、骨格筋、精巣といった末梢臓器のエネルギー調節におけるUSP2の役割に注目してきましたが、今回の研究により、脳を介したエネルギー代謝の中枢制御にもUSP2が大切な役割を果たすことを明らかにできました。生活習慣病の治療標的分子としてのUSP2の可能性について今後も検討を重ねたいです。本研究は様々な方のサポートにより達成できましたが、特に橋本先生、藤本先生が互いの長所をうまく生かして研究を展開できたことを嬉しく思います。 発表論文 Hashimoto M, Fujimoto M, Konno K, Lee MM, Yamada Y, Yamashita K, Toda C, Tomura M, Watanabe M, Inanami O, Kitamura H. USP2 in the ventromedial hypothalamus modifies blood glucose levels by controlling sympathetic nervous activation. The Journal of Neuroscience 3 May 2022, JN-RM-2504-21; DOI: https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.2504-21.2022