本学大学院生が「第24回日本体力医学会北海道地方会大会」で奨励賞を受賞

Date:2022.05.23

NEWS NO.6(2022年度)

本学大学院生が「第24回日本体力医学会北海道地方会大会」で奨励賞を受賞

16日に、北海道大学大学院保健科学研究院での対面とオンラインによりハイブリッド方式で開催された『第24回日本体力医学会北海道地方会大会』において、大学院酪農学研究科食品栄養科学専攻博士課程1年の藤江衣織さんが発表した「運動前日の水分摂取制限下でも運動前の糖質溶液摂取によって運動誘発性低血糖は生じる」が奨励賞を受賞しました。

大学院酪農学研究科食品栄養科学専攻博士課程1年の藤江衣織さん

オンラインでの発表の様子

<研究概要>
運動前日の水分摂取が不十分であると、運動当日に脱水症状に陥る危険性があります。運動前に脱水状態に気づいた時には速やかに水分を摂取する必要があります。しかしながら、我々の研究で運動開始30分前に30 g / 500 mLの糖質溶液を摂取すると血糖値が上昇し、その状態で運動を開始すると血糖値の急激な低下により運動誘発性低血糖が生じることが明らかとなっています。一方で、脱水状態では溶液が胃から腸へと排出する速度が低下することが報告されており、糖質溶液を摂取したとしても胃排出速度の低下により血糖値上昇が抑制され、運動誘発性低血糖が生じない可能性が考えられました。そこで本研究では前日に水分摂取を制限した状態での運動開始30分前の30 g / 500 mLの糖質溶液摂取が運動中の血糖値に及ぼす影響を検討しました。本研究の結果から、予想に反し、運動前日の水分摂取制限によって、運動当日に脱水に近い状態であっても、運動開始30分前の30 g / 500 mLの糖質溶液摂取によって運動誘発性低血糖が生じることが明らかとなりました。

 

藤江衣織さんと山口太一教授

藤江 衣織さんのコメント

今回、奨励賞をいただき大変嬉しく思います。ご指導いただいた山口太一先生をはじめ、共同研究者の先生方、協力してくださった後輩の皆さんのおかげで最後まで本研究を進められ、このような賞をいただくことができました。皆様に心より感謝申し上げます。本研究を終えて、さらに検討すべき課題を見つけることができました。今回の経験を糧にし、今後もスポーツの現場に還元できるような研究を継続していきたいと思っております。

指導教員から一言
山口 太一教授(食と健康学類 食・健康スポーツ科学研究室)

この度、藤江さんが第24回日本体力医学会地方会大会において奨励賞を受賞した研究は、藤江さんの修士論文に関わる研究の一部です。
令和3年度北海道体育学会70周年兼第60回記念学会大会において受賞した若手研究者賞に引き続き、修士論文における研究が別の学会大会においても評価されたことは大変光栄なことです。
今回、発表させていただいた研究の結果は、藤江さんの立てていた仮説通りの結果ではありませんでした。しかしながら、前日の水分摂取の状況に関係なく、運動前の糖質溶液摂取によって運動誘発性低血糖が生じるという非常に興味深い結果となりました。博士課程では,修士課程で行ってきた研究をさらに発展させた研究を計画しており、今後も興味深い研究成果を出されることを期待しています。


【参考】関連記事
◇2021.12.11本学大学院生が「令和3年度北海道体育学会70周年兼第60回記念学会大会」で若手研究者賞を受賞
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/18925.html
◇2019.12.25大学院生の八田早那子さんが「平成31年度北海道体育学会第59回大会」で若手研究者賞を受賞
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/7708.html

【参考】 教員・研究室一覧 
◇山口 太一 教授(食・健康スポーツ科学) 
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9360.html
◇研究室FBページ
 https://www.facebook.com/Taichi.Yamaguchi.Lab
◇柴田 啓介講師(健康スポーツ科学)
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9341.html

【参考】関連リンク
 第24回日本体力医学会北海道地方会大会
 https://jspfsm-hkd24.studio.site/
◇北海道体育学会 
 http://www.hspehss.jp/