【プレスリリース】ウイルスの温度安定性を大きく向上させるゼラチンの新機能を発見

Date:2022.08.05

本学獣医学群獣医学類の萩原克郎教授(獣医ウイルス学)は、新田ゼラチン株式会社(代表取締役社長:尾形浩一、本社:大阪府八尾市)と医療用ゼラチンを用いたウイルスの温度安定化に関する共同研究(以下、「本研究」という)を実施し、その論文が2022年5月27日付けでVirology Journal(ウイルス学ジャーナル)に掲載されました。


この医薬品は、がん細胞に感染した時にだけ増殖してがん細胞を破壊できるように、遺伝子導入を行って 開発されており、正常な細胞に感染しても増殖することがなく、狙ったがん組織にだけ作用し、抗がん剤等に比べると副作用等の患者の方への負担軽減が期待できます。

先端がん治療用に注目されている腫瘍溶解性ウイルス(以下、「ウイルス医薬品」という)は、超低温冷凍での保管や輸送が必要で、ウイルス医薬品による治療の普及には課題となっています。本研究成果によりゼラチンをウイルス医薬品に配合することで温度安定性を大きく改善し、冷蔵保管や輸送を実現できる可能性が示唆されました。

 

掲載先 Virology Journal(BioMed Central社*)
    *英国を拠点とする科学的オープンアクセス出版社で、250を超える科学雑誌(ジャーナル)を発行し、
     その全てをオンラインでのみ公開している。
題 名  Stability of enveloped and nonenveloped viruses in hydrolyzed gelatin liquid formulation
     [エンベロープウイルスと非エンベロープウイルスの安定性に対する加水分解ゼラチン液の効果]
著者名  酪農学園大学 獣医学類教授 萩原 克郎
    新田ゼラチン株式会社 バイオメディカル部長 平岡 陽介
    新田ゼラチン株式会社 同部研究員:塚本 啓司、Francois Marie Ngako Kadji、小谷 知希
URL  https://virologyj.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12985-022-01819-w