「One Health」視点で学ぶSFTS対策セミナーを開催

Date:2025.11.26

NEWS No.91(2025年度)
「One Health」視点で学ぶSFTS対策セミナーを開催

2025年11月24日(月)、酪農学園大学獣医学群は、公益社団法人北海道獣医師会およびNDTS株式会社の共催により、「SFTS対策セミナー ~人・動物・地域を守るために~」を本学附属動物医療センター(臨床獣医学教育研究棟3階vetOSCE室)にて開催しました。


重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、ダニが媒介するウイルス感染症で、人では致死率が10~30%と高く、西日本から東日本へと感染が拡大しています。ネコやイヌにも感染し、飼い主や診療にあたる獣医師にも感染する可能性があるため、動物と人の双方で注意が必要です。2025年8月には北海道内で人の感染が確認され、道内における対策の重要性が高まっています。本セミナーは、11月17日に北海道獣医師会と本学が締結した包括連携協定の記念事業として開催されたもので、学生や教職員、道内の獣医師会会員など100名以上が参加し、SFTSへの理解を深めました。

開会挨拶
冒頭に開会挨拶として、酪農学園大学獣医学群長の山下和人教授より、「SFTS対策を機に北海道獣医師会と酪農学園大学は包括連携協定を締結しました。SFTSへの迅速な対応と国内の先進事例を学ぶため、本日は宮崎大学から2名の講師をお招きしています。本学のEAEVE認証を受けた動物医療センターの機能も生かし、北海道の獣医師の皆さまを力強くサポートしていける契機となれば幸いです」と述べました。

酪農学園大学 獣医学群 山下和人 学群長


講演1:SFTSの疫学と地域発生状況(2020-2025)
続いて、宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター副センター長の岡林環樹教授が「SFTSの疫学と地域発生状況(2020–2025)」をテーマに講演しました。SFTS研究の第一人者である岡林教授は、国内外の発生状況や具体的な事例、感染メカニズムを踏まえながら、現在の防疫体制の課題と対応の方向性について分かりやすく解説されました。

宮崎大学 農学部獣医学科 岡林環樹 教授(宮崎大学産業動物リサーチセンター 副センター長)

講演の様子


講演2:犬猫症例から学ぶSFTSの治療対応
次に、宮崎大学附属動物病院の金子泰之准教授が「犬猫症例から学ぶSFTSの治療対応」と題して講演しました。SFTS症例が多い宮崎県での豊富な臨床経験を基に、発症時の判断基準や感染防御のポイント、治療経過・入院管理の実際など、現場で求められる具体的な対応について詳しく紹介されました。


宮崎大学 農学部獣医学科 附属動物病院 金子泰之 准教授

講演の様子



講演3:SFTS動物感染症対策における酪農学園大学の取組み
本学からは、「北海道SFTS対策・研究プロジェクト実務チーム」のチーム長である獣医学群獣医学類の萩原克郎教授(獣医ウイルス学ユニット)が「SFTS動物感染症対策における酪農学園大学の取組み」について紹介しました。本学と北海道獣医師会が連携して整備を進めているSFTSの疑いのある動物の検査対応フローや、SFTS対策・研究プロジェクト実務チームの組織体制、感染動物隔離施設の活用など、現時点における本学の受入体制について報告しました。


酪農学園大学 獣医学群獣医学類 萩原克郎 教授(北海道SFTS対策・研究プロジェクト実務チーム チーム長)



関連企業からのメッセージ
また、SFTS対策では疑い症例の早期検査が重要であることが、岡林教授・金子准教授の講演からも強調されたことを受け、NDTS株式会社 代表取締役CEOの井上博紀氏からは、同社の「SFTSウイルス遺伝子分析サービス」について説明がありました。さらに、検体採取までのタイムロスを減らすための取り組みについても説明されました。

NDTS株式会社 代表取締役CEO  井上博紀 氏



閉会挨拶
最後に、北海道獣医師会 田村豊会長より閉会挨拶があり、「北海道での発生に備え、北海道獣医師会と酪農学園大学は包括連携協定を締結し、その最初の取り組みとして本セミナーを開催しました。SFTS対応に精通した宮崎大学のお二人の実践的なお話が、今後の現場での活動に役立てば幸いです。今後も協定に基づき最新の情報を関係者の皆様と共有しながら、地域の皆さまに貢献していきたいと考えています。本日の開催にご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます」と述べました。

北海道獣医師会 田村 豊 会長



本学はこれからも北海道獣医師会と連携し、SFTSをはじめとする人獣共通感染症への理解促進と対応力の強化に努めてまいります。また、「One Health」の理念のもと、地域の獣医療と公衆衛生の向上に寄与する取り組みを継続して進めていきます。






【参考】関連記事
◆2025.11.19酪農学園大学と北海道獣医師会が包括連携協定を締結
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/41484.html


【参考】関連ページ
公益社団法人北海道獣医師会
 https://www.hokkaido-juishikai.jp/ 

NDTS株式会社
 https://www.ndts.co.jp/

酪農学園大学獣医学群獣医学類
 https://www.rakuno.ac.jp/department/veterinaryclass.html

◆獣医学類 萩原 克郎 教授(獣医ウイルス学ユニット)
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9429.html