酪農学園大学と北海道獣医師会が包括連携協定を締結
Date:2025.11.19
NEWS No.85(2025年度)
酪農学園大学と北海道獣医師会が包括連携協定を締結
2025年11月17日(月)、酪農学園大学と公益社団法人北海道獣医師会による包括連携協定締結式が、酪農学園大学附属動物医療センターにて執り行われました。今回の協定は、近年北海道内において課題となっている 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)陽性のネコやイヌへの対応を契機として締結されたものです。
両者が有する教育・研究・地域ネットワークなどの資源を効果的に活用し、SFTS対策をはじめとする地域が抱える課題やニーズに対応しながら、人と動物と地域(環境)の健康を守るためのOne Healthの視点で教育研究および社会貢献活動を連携して推進することを目的としています。
なお、11月24日(月)には今回の協定締結を記念し、SFTS対策セミナーを本学獣医学群主催、北海道獣医師会およびNDTS株式会社の共催で実施します。
協定締結で推進する取り組み
(1)疾病調査や予防法に関する相互協力
(2)教育(リカレント教育を含む)および研究シーズの連携
(3)インターンシップ等、学生との交流促進
(4)地域の課題解決を目指す連携・協力
(5)One Health(ワンヘルス)の推進および理解の醸成
協定の契機となった SFTS(重症熱性血小板減少症候群)について
SFTSは、ダニを媒介して感染するウイルス性疾患であり、人と動物の双方において重篤化するケースが報告されています。これまで国内では西日本を中心に発生してきましたが、近年は東日本にも徐々に感染が広がっています。2025年6月には近畿地方で、SFTSに感染したネコを診療していた臨床獣医師が死亡したほか、同年8月には北海道在住の成人での感染が確認されました。
酪農学園大学は、最新の隔離施設や感染症対応設備を備えており、SFTSに関する知見を有するスタッフが在籍しています。また、国際的な獣医学教育の評価基準である EAEVE(ヨーロッパ獣医学教育機関協会)の国際認証を取得しており、最新の獣医療施設と経験豊富な教育・研究スタッフを有しています。一方、北海道獣医師会は道内獣医療を広く支えるネットワークを持ち、臨床現場や公衆衛生の面から地域を支えています。両者が連携することで、SFTSへの迅速な対応、人材育成、地域連携の強化が大いに期待されます。
酪農学園大学 岩野 英知 学長
「北海道の獣医療や公衆衛生を支える重要な組織である北海道獣医師会と、このように正式に連携できたことを大変心強く感じています。SFTSに関しては、道内でも受け入れ体制の整備が課題となっている中、本学では人と動物の双方を守るためのSFTS陽性動物受け入れ対応チームを立ち上げ、受け入れの流れや院内での感染対策等の体制作りを行っています。ただし、この取り組みを確実に進めていくためには、大学だけではなく道内各地で活躍されている獣医師の皆さまとの連携が不可欠です。
今回の協定を機に、感染症への共同対応だけではなく、獣医師と学生の交流や研修、地域の方々への啓発活動や日常的な研究協力など、幅広い取り組みを両者で進めていきたいと考えています。大学と北海道獣医師会が力を合わせることで、北海道全体で One Health(人・動物・地域の健康)を一体として守る取り組みをさらに強く推進できると確信しています。今回の協定締結を新たな一歩として、これからの協力がより実りあるものになるよう努めてまいります。」
公益社団法人北海道獣医師会 田村 豊 会長
「酪農学園大学の卒業生として、また本学で教育・研究に携わってきた立場から、このたび協定という形で再びご縁を結べたことを大変うれしく思います。
北海道獣医師会は約2,700名の獣医師が所属し、道内の動物と人の健康を守るために活動していますが、近年は獣医師の職域の偏りや人獣共通感染症の拡大など課題が複雑化しています。特に、発生が懸念されていたSFTSが道内でも確認され、道内でも感染リスクが高まっています。現場の獣医師にとっても初めて直面する致死性の感染症であり、対応力の向上や情報共有体制の整備が急務です。そのような中、国際的な認証を受けた獣医学教育と最新の隔離施設、経験豊富な獣医師を有する酪農学園大学と連携できることは、私たちにとって大きな力になります。酪農学園大学の教育研究の知見と、獣医師会の全道的ネットワークを結び付けることで、北海道の獣医療と公衆衛生をより強固にできると確信しています。」

SFTS対策セミナーの開催について
協定締結を記念し、下記のとおり SFTS対策に関するセミナーを開催します。
「One Health視点で学ぶSFTS対策 〜人・動物・地域を守るために〜」
日 時: 2025年11月24日(月)17:00–19:00
場 所: 酪農学園大学附属動物医療センター 臨床獣医学教育研究棟 3階 vetOSCE室
主 催: 酪農学園大学獣医学群
共 催: 北海道獣医師会、NDTS株式会社
最新知見の紹介や現場対応の解説が行われ、学生・教職員・北海道獣医師会の会員の皆様など幅広い層の参加をお待ちしております。
【関連】
◆公益社団法人北海道獣医師会
https://www.hokkaido-juishikai.jp/
◆酪農学園大学獣医学群獣医学類
https://www.rakuno.ac.jp/department/veterinaryclass.html



