長谷川靖洋

食と健康学類

長谷川靖洋 はせがわ やすひろ

講師

研究室番号
C8-106
取得学位 修士(食品栄養科学)
研究室・ユニット名 応用生化学
研究キーワード 食肉化学 食肉生化学 異常硬化胸肉

ブロイラーに多発する異常硬化胸肉の発現機序の解明

研究の概要・特徴

近年は健康志向の高まりから高タンパク低脂肪の食品が好まれる傾向にあり,鶏胸肉はその主たる食材であることから,その消費動向は増加傾向である.そのため,ブロイラーは高い生産性が求められるおり,より大きな胸肉をもつ個体が選抜され育種改良されてきた.その一方で,大きな胸肉をもつ個体は胸肉が異常に硬化する筋障害を発現する個体が多発するようになり,全世界的な問題になっている.このブロイラーの硬化胸肉はその異常な硬さからWooden Breast(以後,WB)と比喩され,2014年に初めて報告された.WBは胸肉に限局した筋障害であり,その発現頻度は約5〜10%と報告されている.WBを発現した胸肉は異常に硬く,その肉表面は淡い色調を呈することから品質の低い肉として廃棄されている(図1).WBはこれまで報告されていた筋障害とは異なった退行性変化を呈していることが明らかとなり,WBでは筋線維の炎症と変性を伴い,筋線維が結合組織に置換されることで非常な硬さを呈することが明らかとなった(図2).これまでの研究成果から,WBの発現は生体重が重い個体ほど高頻度でWBを発現しており,我々は鶏の異常な成長スピードがWB発現と関係し,胸肉の急速な発達に対して毛細血管の形成が追いつかず,筋肉内で虚血を引き起こしていると考えている.現在はこの仮説を証明するため畜産学および獣医学の研究者と共闘し,研究を展開している.


産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

北海道ではブロイラーの大規模飼養が特徴であり,その生産量は10万トンで,全国の5%を占めている(農林水産省畜産物流統計参照).過去には全飼育羽数の一割程度でWBを発現し.その発現率から約1万トン程度が廃棄されていると試算されていた.今日では若干の改善が認められるものの,いまだに廃棄される胸肉が多い.
WBの発現機序を理解することは飼育飼料組成や飼養法を工夫してその発現を低減させるための飼養法を検討する知見となり,この莫大な経済損失を解消する一助になると確信している.