毛利 泰大

循環農学類

毛利 泰大 もうり やすひろ

講師

研究室番号
A3-502
研究室・ユニット名 統計学
研究キーワード 北海道 水利 維持管理

北海道の水利組織における北海道的特徴の検証

研究の概要・特徴

 稲作において用排水のための水利施設の維持管理は重要である。用水利用は生産において強い外部性を持つ。つまり一生産者の水利用が、他の生産者に大きく、そして決定的な影響を与える可能性がある。我が国ではダムや幹線水路の維持管理は土地改良区が担うが、末端水路の維持管理を担うのは農村組織である。
 都府県においてこの農村組織は通常自治会などの住民組織を意味し、水利施設の維持管理が地域活動の一環として行われている。時に非農家も含み行われるこのような維持管理活動は、緊密な社会関係に基づき行われていると考えられている。
 一方、北海道では維持管理を担う農村組織としての水利組織において、都府県とは異なる次のような特徴があることが指摘されている。①水利組織と住民組織の不一致。北海道では土木的効率性を考慮し設計された用水区域によって、維持管理を担う利用者集団が異なる様々な地域や集落の農家で構成されているケースが多い。これは居住地区の社会的関係に基づいた維持管理実施のコストは極めて高いことを意味する。②水利組織の重複所属。北海道農業の特徴の一つに大規模経営がある。規模拡大過程で様々な圃場を耕作することになれば、それは圃場を管理する様々な水利組織へ所属することを意味する。農家が掛け持ち的に複数の組織に所属することになれば維持管理実施の調整コストは大きくならざるを得ない。これら2点を示す指標を算出しプロットしているのが下図である。
 各点は水利組織を意味する(点のサイズは組織員の数に応じている)。それら水利組織の構成員における居住集落の多様性が大きければより図中右に配置される(①の検証)。また水利組織において構成員の他推理組織への重複所属の傾向が強ければ図中上に配置される(②の検証)。

図 北海道の水利組織における構成員の集落多様性と他水利組織所属の多様性 図 北海道の水利組織における構成員の集落多様性と他水利組織所属の多様性
産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 水利組織において構成員の社会的特徴(集落構成、他組織所属)は維持管理の実施に影響を与えると考えられる。図が示すように、北海道の水利組織は歴史や地理的特徴に影響され単一の特徴を有さない。ある水利組織では地域をまたぐ多くの農家から構成される一方、別の水利組織では組織と集落が一致する傾向にある。前者では集落の社会的関係に基づく維持管理の実施は難しいが、後者では府県のようなメカニズムで維持管理がなされている可能性もある。農村の有り様は水利に影響するが、同時に水利も農村の有り様に影響する。北海道の農村は多様である。その多様な農村を正確に把握するには水利組織と農村の関係をも考慮する必要があると考える。