NEWS NO.126(2025年度)
本学大学院酪農学研究科修士2年の三矢あゆ香さんが
第30回日本乳房炎研究会学術集会で高居百合子学術賞(臨床部門)を受賞
2025年11月1日北海道、東京、岡山の3会場で同時開催となった第30回日本乳房炎研究会学術集会において、本学酪農学研究科修士2年の三矢あゆ香さんが「髙居百合子学術賞」(臨床部門)を受賞されました。
【研究概要および受賞コメント】
受賞者:酪農学研究科修士2年 三矢 あゆ香さん(指導教員:菊 佳男教授)
発表演題:泌乳期用乳房注入剤治療後の効果判定におけるDSCCの有用性評価
発表概要:牛乳房炎は酪農現場で頻発する疾病であり、生乳生産性や乳質の低下を通じて経営に大きな影響を及ぼす。治療には主に抗菌薬が用いられるが、治療終了後に炎症が十分に収束しているかを客観的に評価する指標は限られており、臨床症状の寛解と体細胞数(SCC)の低下で治癒と判断されるが、SCCが下がっていても炎症が残っている可能性がある。
本研究では、乳中体細胞の構成比を示す体細胞種別判定(DSCC)が、乳房炎治療後の治癒過程や再発リスクの評価に活用できるかを検討した。臨床型乳房炎と診断されたホルスタイン種搾乳牛13頭14分房を対象に、治療前から出荷再開までの期間において、SCCおよびDSCCの推移を解析した。治癒群は出荷再開後7日間の当該分房乳の平均SCCが20万cell/mL未満の分房、再発群は20万cell/mL以上の分房と定義した。その結果、治療開始前のSCCおよびDSCCには両群間で差は認められなかったが、治療後、とくに休薬期間終了から出荷再開にかけて、再発群ではDSCCが高値で推移する傾向がみられた。一方、治癒群ではDSCCが段階的に低下し、安定した推移を示した。 以上のことから、DSCCはSCCの低下のみでは把握しにくい炎症の残存状態を捉える可能性があり、乳房炎治療後の状態評価を補完する補助指標として活用できる可能性が示された。また、DSCCは、一部地域では既に導入されている機器であり、従来の治療前後に行われる検査と同じタイミングでDSCC測定を行うことで、追加の作業を必要とせず、治療後の判断材料として現場で活用できる可能性がある。
受賞者のコメント:この度はこのような賞をいただき、大変光栄に思います。
ご指導いただいた菊先生、大量の検体を処理いただいた十勝農業協同組合連合会の皆様、研究にご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。
酪農に関わり始めてからの6年間、農場でのアルバイトや実習を通して抱いた疑問を、そのままにせず研究として深めることができたのは、指導してくださった先生方と酪農家の皆さまのおかげです。
4月からは酪農の現場で働く立場になりますが、これからも学び続け、牛のためにできることを一つずつ積み重ねていきたいと思います。
指導教員コメント:本研究は、乳房炎治療後の評価という酪農現場で極めて重要な課題に着目し、体細胞種別判定(DSCC)を活用することで、従来よりも丁寧な治癒評価の可能性を示した点が高く評価されました。
乳房炎を専門とする研究者や臨床獣医師が集う日本乳房炎研究会において、当研究室の三矢あゆ香さんが本研究を発表し、臨床部門・高居百合子賞(最優秀賞)を受賞したことは、指導教員として大変誇らしく感じています。三矢さんは、実習や現場経験の中で抱いた疑問を出発点に、自ら課題を整理し、地道なデータ収集と解析を粘り強く積み重ねてきました。研究の過程では困難な局面もありましたが、周囲の助言に真摯に耳を傾けながら最後まで取り組んだ姿勢が、今回の高い評価につながったものと考えています。今後も、現場に寄り添い、科学的根拠を大切にする人材としてのさらなる活躍を期待しています。

【関連】
◆日本乳房炎研究会
https://bovine-mastitis.com/kiroku/30.html
◆循環農学類 菊 佳男 教授(畜産衛生学研究室)
https://www.rakuno.ac.jp/teacher/14498.html
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