NEWS NO.132(2025年度)
フィールド教育研究センター長(兼 副学長)が語る② ~酪農のあり方が変わる~ 先進設備の導入
今回は、新農場に導入するさまざまな「先進の設備」についてお話しします。このプロジェクトの核となる部分といっても過言ではないのが、デラバル社製の搾乳ロボット「DeLaval VMS™V300」の導入です。
これまでの搾乳は、いうまでもなく、人が牛のいる場所まで行って一頭一頭手作業で行うものでした。朝晩2~3回、毎日数時間かけて行うこの作業は酪農家にとって大きな負担の一つです。しかし、今回導入する搾乳ロボットは、牛が自身のタイミングで自らロボットの中に入り、自動で搾乳が行われ、搾乳が終わると牛は自身で外に出ていくという画期的なものです。最初は誘導して教えることが必要ですが、慣れてきたら自ら行動するようになります。

しかも、この搾乳ロボットは単に搾乳するだけではありません。それぞれの牛から搾った乳量や乳質を詳細にモニタリングし、たとえば「体細胞数」を測定することで、炎症や病気の兆候を早期に察知できます。また、乳汁中の黄体ホルモンを測定することで、発情や妊娠の有無を把握することも可能になっています。搾乳時には赤外線カメラによる体形のチェックも行い、牛のボディコンディションを数値化してくれますので、太りすぎ、やせすぎなども簡単にわかるようになります。つまり「搾乳」というタイミングを利用して、牛の健康状態全般を自動で管理してくれる仕組みになっています。
これまでは、経験豊富な酪農家が牛を見て「少し歩き方が変だ」「食欲が落ちている」などの観察を積み重ねて健康を管理してきました。もちろん、今後も、そのような経験則や知識が大切であることは変わりませんが、そうした経験値が数値として裏付けられるようになります。ベテランにとっては自分の判断が正しかったと確信できますし、これから学ぶ学生、就農したばかりの新人にとっては不安なく学べる助けになるでしょう。
また、これら一連の管理がPCモニターやスマホの画面で確認できるということも大きいですね。これから学ぶ学生たちも、実習に来た時に「スマホをちょっと出して、このアプリ入れてくれる?」という感じではじめて、「じゃあこの15番の牛は今どこにいますか?この子はいつ分娩しましたか?どれぐらい餌を食べていますか?乳量がどれくらい出ましたか?この子はいつ人工授精をしましたか?」というような情報を全てそのアプリの中でわかるというような、そういう学習をさせたいと思っています。これは、やっぱり近未来的な農業につながるんだろうなと思います。

さらに、この搾乳ロボットは24時間稼働します。これまでの酪農では、主に朝晩2回の搾乳が基本で、牛によってはそれで十分な場合もありますが、乳量の多い牛は1日5回~10回以上もロボットを訪れることもあります。牛自身が「今、搾ってほしい」と感じたタイミングで自ら動いて搾乳してもらうというのは、牛にとってもストレスが少なく、健康にとってもプラスに働きます。
加えて、子牛用の自動哺乳システムも導入されます。本学で言うと乳牛研究会の学生がバケツを抱えて一頭ずつ授乳していますが、今後はコンピューター管理されたシステムで、体重や体調に合わせた適切な量を自動で与えることができます。学生はそのデータをもとに「この子は元気がないな」と気づき、直接触れて確認するというように、データと実体験が結びついた実習が可能になります。
これらのシステムによって、酪農は「大変な作業」でなくなり、実習も「楽しみながら学べる実習」へと変わります。学生たちはスマホで牛の状態を確認しながら、現場で実際に牛と接するという、これまでにない、未来志向の学びの場が生まれるのです。
次回は、この先進の設備がもたらす「メリット」についてさらに掘り下げてお話ししたいと思います。
います。 次回は、具体的に、導入する「先進の設備」についてお話しします。搾乳ロボットをはじめ、農業のあり方を変えていく新技術がどのような可能性を持つのかをご紹介していきます。
【参考】関連記事
◆2026.01.29 フィールド教育研究センター長(兼 副学長)が語る① ~酪農から楽農へ~ プロジェクトへの思い
https://www.rakuno.ac.jp/43279.html
◆2026.01.14 新牛舎新築工事の進捗状況について(Vol.1)
https://www.rakuno.ac.jp/43075.html
◆[プレスリリース]酪農学園大学が最先端のロボット牛舎を新築 ―学生が未来型酪農を実践的に学べる教育環境を整備―
https://www.rakuno.ac.jp/archives/39600.html
◆酪農学園大学 農環境情報学類 特設サイト
https://shingakunet.com/school/SC000559/rakuno/special/
◆酪農学園大学YouTubeチャンネル「農環境情報学類」Movieプレイリスト
https://www.youtube.com/watch?v=96_fBG3bp9A&list=PLTeyee6_6Hhwgz3tSCknZ-idSyHkESVNU
【参考】関連リンク
◆フィールド教育研究センター
https://www.rakuno.ac.jp/outline/initiatives/farm.html
◆農場・Renewプロジェクト ― 酪農を『楽農』の時代へ―
https://www.rakuno.ac.jp/43009.html
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