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競走馬の安楽死を知って獣医の道を選択した
競走馬の安楽死を知って獣医の道を選択した
獣医学群 獣医学類3年 宇髙 瑠爽さん

競走馬の安楽死を知って獣医の道を選択した
現在獣医学類3年の宇髙瑠爽(うだか るそう)さんは京都出身の21歳。家族は非農業で、獣医とも全く無縁の普通の家庭環境で育てられた。記者は面談取材の時、「どうして獣医学を選択したか」「どうして北海道なのか」、興味津々で聞いてみた。
―『高校生の時、競走馬のディープインパクトが安楽死させられて、いろいろ理由を調べていく中で足の怪我が原因だということが分かりました。「どうやっても助ける方法はなかったのか」、必死に考えていくうちに馬に惹かれるようになった。それが「将来は獣医になって馬の診療をやりたい」という夢になり、進路決定につながりました。最初は小動物を専攻して、最終的には馬の診療に携わりたいと考えるようになった』―。
北海道は競走馬の一大産地、特に日高地方は馬産地の集積地だ。宇髙さんが馬の多い北海道で、獣医学のある唯一の私学、「酪農学園大学」を受験したのは運命的な必然と思えた。
ついでに周りの友人らの育ってきた環境(農業との関連性)を聞くと、
―『何人かは酪農を営んでいる家の子もいますが、ほぼ普通の家の出身の方が多いです。全員が獣医を目指しています』―。
現代の学生たちはちゃんと将来を設計して、大学で勉強していることがわかり、非常に頼もしく思えた。つまり、しっかりした考えを持った若者は案外と濃い密度で、この社会に存在しているという事実。

人も動物も感染症と遭遇しやすい時代
獣医学類の学年別の授業内容を聞いてみると、
―『1年生の時は体の仕組み、骨の名前とか位置などを勉強します。2年生ではウィルスや細菌について学び、感染症の原因などを学びます。3年生ではどの感染症にはどのような薬が効くか、細胞レベルまで掘り下げて勉強をします。4年生以降は臨床の現場が中心となり、1~3年生の間で学んだ知識を臨床の現場でどのように活かしていくか。5~6年生になると動物病院での実際の現場を見ながら勉強をしていきます』―。
根室地方で高病原性鳥インフルエンザが発生、これに感染してラッコが死んだというニュースがあった。鳥から動物にも感染するのか、聞いてみたところ、
―『ほとんどのウィルスは動物の間で感染するため、鳥からラッコや人への感染も不思議ではありません。鳥インフルエンザが発生した鶏舎で埃を大量に吸いこんだ場合、もしかしたら発症するかもしれないというレベルですね。鶏の殺処分の作業で防護服を身に着けるのはそのためです。最近、韓国で口蹄疫*が発症して「現地では農場に入らない」、「もし入ったら、日本の農場には入らない」という対策を大学でもやっています。厚生労働省も農林水産省も渡航者に注意を呼び掛けています』―。
宇髙さんに実習に行けたのかを聞いてみた。
―『まだ行けていません。小動物から実習に入りたいと考えています』―。
さらに大学の勉強以外ではどのように大学生活を過ごしているのかを聞いてみたところ、
―『塾とホテルのアルバイトをしています。あとは学園祭の実行委員会のメンバーもやっていて、学園祭自体は7月に実施されますが、2月から半年間をかけて準備しています。農産物・畜産物の材料もほぼ学内で調達できます。例えば、農食環境学群だと食品であったり、牛乳を使ったアイス販売、牛肉を使ったパンやソーセージ、ベーコンもあります。当日は地域の方が大勢来てくれます。昨年の学園祭では親も来て楽しんでいました(笑)』―
*「口蹄疫」…偶蹄類動物(牛、豚などに感染する、非常に伝染力の強いウイルス性の家畜伝染病。口の中や蹄に水膨れができるなどの症状がみられ、治療法はない。感染が疑われた場合、家畜伝染病予防法に基づき、殺処分が行われる。

義足があるように動物用の義足を作りたい
獣医師と医師の違いはあるのだろうか?
―『人が動物に代わっただけでやっていることは同じです。聴診器も当てますし、注射もしますし、外科的なこともします。これまでは一人の獣医師が内科も外科も全部担うことが多かったと思います。しかし、ここ十年くらいで専門の科に分かれています。獣医師も内科、外科、呼吸器科など、病院に専門医を配属しつつあります』―。
最後の質問は将来の夢はどう描かれていますか?
―『動物用の義足を作って広めたいです。実際に義足とか義体を作っている人がいるのですが、その方は獣医師ではなく技師。獣医師と協力し合いながら作っています。僕も獣医師を目指していますので、そのような方と協力し合いながら義足などを作り、歩くことができなかった動物をもう一度歩けるようにしてあげたい。それが一番の夢です』―。
(月刊ISM2025年7月号掲載記事をもとに制作 )
【参考】関連ページ
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年6月)
「食と健康で人を笑顔にしたい」
農食環境学群 食と健康学類 管理栄養士コース3年 和美 帆香さん
https://www.rakuno.ac.jp/43977.html
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