NEWS NO.24(2026年度)
新しい牛舎が目指す「見える衛生管理」― 未来の酪農を支える農場づくり ―(獣医学類・FEDREC 前副センター長 菊 佳男 教授)
「農場・Renewプロジェクト ― 酪農を『楽農』の時代へ―」の取り組みとして、今回はFEDREC 前副センター長(酪農生産ステーション担当)で、新牛舎衛生管理ワーキングメンバーである菊 佳男 先生(獣医学類)に、新牛舎の衛生管理について目指す姿を伺いました。
酪農学園大学の「農場Renewプロジェクト」では、新しい牛舎の整備を通じて、これからの酪農に求められる衛生管理のあり方を見直しています。
これまでの農場では、牛の移動、飼料の搬入、堆肥の処理、人や車両の出入りといったさまざまな動きが一つの空間で行われてきました。その結果、目には見えにくい「汚染のリスク」が生じることがあります。こうしたリスクは、牛の健康や乳質の低下につながるだけでなく、農場全体の生産性にも影響を及ぼします。そこで新しい牛舎では、「病気を治す」ことよりも、「病気を持ち込まない・広げない」ことを重視した衛生管理を目指しています。
新たな農場づくりにおいて大切にしている考え方の一つが、「分けること」です。牛の動き、飼料の流れ、堆肥の処理、人の出入りといった動線を整理し、それぞれができるだけ交わらないようにすることで、汚染の広がりを防ぎます。これは特別な作業ではなく、日常の動きそのものを見直すことで実現する衛生管理です。


また、新しい牛舎では、衛生状態を「見える形」で管理していくことも大きな特徴です。これまで経験や感覚に頼ることが多かった衛生管理を、記録や指標に基づいて確認できるようにすることで、誰が見ても分かる、そして改善につなげられる仕組みを整えていきます。例えば、清掃や消毒の実施状況、農場内の環境の状態、作業の記録などを継続的に把握し、より良い管理へとつなげていきます。
このような取り組みは、牛の健康を守るだけでなく、そこで学ぶ学生にとっても大きな意味を持ちます。実際の農場で衛生管理を体験しながら学ぶことで、「なぜ必要なのか」、「どうすれば良くなるのか」を自分の目で理解することができます。単に知識として学ぶのではなく、現場で考え、改善していく力を育てることができると考えています。
さらに、こうした農場は研究の場としても重要です。乳房炎などの疾病対策や、抗菌薬の適正な使用といった課題に対して、現場のデータをもとに検討を進めることができます。衛生管理は、牛の健康だけでなく、持続可能な酪農を支える基盤でもあります。新しい牛舎は、単なる施設の更新ではありません。そこには、これからの酪農に必要とされる考え方と仕組みが込められています。
酪農学園大学の新農場は、教育・研究・地域との連携を担う場として、これからも進化を続けていきます。そしてこの取り組みが、未来の酪農を支える一つのモデルとして、多くの方に広がっていくことを目指しています。
◆酪農学園大学教育研究センター(FEDREC)
https://www.rakuno.ac.jp/outline/initiatives/farm.html
◆獣医学群獣医学類 菊 佳男 教授(生産動物内科学ユニット)
https://www.rakuno.ac.jp/teacher/14498.html
◆獣医学群獣医学類
https://www.rakuno.ac.jp/academics/department/veterinary.html
◆農場・Renewプロジェクト ― 酪農を『楽農』の時代へ―
https://www.rakuno.ac.jp/43009.html
次の記事
本学大学院生の引退競走馬のセカンドキャリアに関する研究論文が、国際学術誌 Animals のMost Viewed Articlesに選出されました
2026.05.25
前の記事
白樺並木更新プロジェクト:白樺とライラックの植樹を実施しました
2026.05.21