NEWS NO.74(2026年度)
植物を通じて環境にアプローチする環境共生学類の「環境植物学研究室」(松山周平准教授)
植物はただそこに生えているだけでなく、周囲の気温・湿度・土壌環境や他の生き物と深く関わり合いながら生きています。環境共生学類の環境植物学研究室(松山周平 准教授)では、自然環境や都市環境における植物の生態、環境応答、保護・保全に関する研究を行っています。フィールドワークや実験を通じて「植物が環境に与える影響」や「環境の変化が植物に及ぼす影響」を科学的に紐解き、持続可能な自然共生社会の実現を目指しています。

――研究内容(研究対象)と担当授業・実習を教えてください
「植物の進化や種分化がどのように起こるのかということに興味があって、今は、明治以降に日本に侵入したセイヨウタンポポなどの外来植物が原産地のものと遺伝子型を比較するとどのくらい変化しているのかということを調べています。これにより自然環境下での植物の進化速度が分かるのではと考えて研究しています。講義は植物生態学、生物分類学の一部と植生保全学を担当しています。実習は2年生の自然環境学実験実習、3年生の野生動物観察同定実習、生命環境学実験実習、水圏地圏総合実習を担当しています。」




――環境共生のなかでの「環境植物学」の位置付けを教えてください
「環境植物学研究室は環境共生学類で唯一植物をメインとする研究室です。植物は地球環境領域とも野生動物領域とも関わりがあるので、これまでにもいろいろな研究室の学生が卒業論文を進めるうえで相談などに来ています。これからも植物、植生の相談窓口となれればと思っています。」
――ドイツ留学について教えてください
「2024年の3月から1年間、ドイツのゲッティンゲンというところに滞在していました。この渡航では、日本に侵入しているヨーロッパ原産の外来植物を各地で集めてくるという目的があって、その拠点としてゲッティンゲン大学の植物系統学研究室に受け入れてもらいました。Elvira Hörandl教授と面識はなかったのですが、相談したところ快く受け入れてくださって大変ありがたかったです。当初は現地で試料を採取して分析までと思っていたのですが、円安のために向こうでの分析費が高騰したので、試料は日本に持ち帰って分析することになってしまって。夏に試料採取や国際学会に出たあとはデスクワークが多かったですね。おかげで、研究室のセミナーに参加したり、実習に参加させてもらう時間ができたので、ドイツの大学での教育、ラボマネジメントなどを知ることができました。フローサイトメトリーや次世代シーケンスデータの解析法の実習があり、現代の植物の系統や進化を研究する王道の手法を教えている一方で、植物の特徴を観察して同定する、という基本の実習をちゃんとやっていることが印象的でした。無駄がないというか、学問としての基礎を押さえつつ、ラボに入ってきても最新の研究についていける教育をしているというところですね。こういう教育・研究の組み立てを見習いたいなと思いました。」






――どのようなことを学びたい学生 (卒論テーマなど) が研究室に多いでしょうか
「好きな植物があって、その植物を研究したいという学生が1割くらいで、DNAを調べる研究がしたいという学生が1割弱、多くは広く森林などの植物のある環境や動物と植物の関係に興味を持っている学生ですね。ゼミの実習としてフィールドで森林調査や植生調査をしたり、ラボでDNA抽出をしたりするのですが、皆興味を持って取り組んでくれます。」
――今後の抱負や展望などについてお聞かせください。
「お世話になったHörandl教授の研究室ではキンポウゲ科の植物を調べていたこともあって、今年からキンポウゲ科の植物もおもしろいなと思って調べ始めています。タンポポでもまだやることはあるのですが、キンポウゲの仲間についてもこれから学生と一緒に研究していければいいなと思っています。」



<研究室に所属する学生インタビュー>
環境植物学研究室4年 嘉島 治久さん(北海道大麻高校出身)

「昔から森や草原で遊び、虫取りや探検を通して自然に親しんできました。そのため進学時には北海道のその雄大な自然について学べる学部が良いと感じ、酪農学園大学を選びました。入学後は野生動物生態研究会(略称:野研)というサークルに所属し、そこでの活動を通して植物への興味を持ち研究室も植物関連の所にしたいと考え、環境植物学研究室に進みました。研究室では植物の生態を基軸に、アポイ岳や天塩などでの毎木調査・植生調査、草本植物の標本作成、時にはトチノキの実で栃餅を作ったりと様々な事に取り組みました。卒業研究ではハマナスについて調査していて、過去の記録をGIS化した物を基に北海道内各地の海岸へ植生調査を行っています。卒業後も植物に関連する仕事をする予定ですので、今後も新たな知見を求めて探究し続けます。」
環境植物学研究室4年 北原 舞さん(福岡県立八女農業高校出身)

「酪農学園大学について知ったのは、高校の進路講座でのことでした。幼い頃から動物が好きだった私にとって、山や森に入って実習を行う環境共生学類のカリキュラムはとても魅力的に映ったため、本学への進学を決めました。実習では、足跡などの痕跡からの動物種を同定する方法や、わなの使い方、植物の標本作りや植生調査など、実際に山林に入って学ぶものも多く、とても勉強になりました。現在は、環境植物学研究室に所属しています。入学した頃は、鳥について学びたいと思っていましたが、大学で学ぶうちに、鳥の生活基盤でもある森についても、勉強してみたいと思うようになりました。今は、森林の機能のひとつである、炭素貯蔵量について調べています。これを卒論のテーマとしつつ、最終的には、過去から現在までの炭素貯蔵量の推移を調べることが目標です。入学当時と今とで、興味の方向が少し変わったことは自分でも意外に思っていますが、新しい学びや経験が重なっていく今を、とても楽しく思っています。」
【関連】
◆環境共生学類
https://www.rakuno.ac.jp/academics/department/symbiotic.html
◆環境共生学類 松山周平 准教授(環境植物学研究室)
https://www.rakuno.ac.jp/teacher/9400.html
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