NEWS NO.74 Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―
食卓に「おいしい」と「安全」を届けたい
人と自然が共生する環境を作り守りたい
神馬 詠太さん(農食環境学群 環境共生学類 2年)
環境共生学類では、環境をめぐる諸問題を客観的に解析する知識や技術を修得し、解決に向けた総合的な判断力を培い、生命圏に生きる生物が互いに自然環境と共存していくことを目指し、野生動物に関わる地域の問題を解決できる「野生動物の専門家」や、自然資源の保全と利用をテーマに幅広く環境問題に対応できる「自然環境の専門家」を育成する。環境共生学類2年の神馬詠太さんに同校に入学したきっかけや、将来の夢などについて話を聞いた。

人も楽しめる場としての”ありのままの自然環境”を
神馬さんが酪農学園大学の環境共生学類への進学を決めたきっかけは、オープンキャンパスへの参加であったという。「高校3年生まで将来についてはっきりとした目標は決まっていませんでしたが、オープンキャンパスで環境共生学類のイベントに参加し、自然環境というものの素晴らしさに触れ、将来的に原生の自然環境や、自然公園などの環境を管理するような仕事、あるいは菜園などの自然を用いて建物の屋上を緑化・管理する造園の仕事など、人と自然の共生を創造し支えるような仕事に就きたいと思うようになりました。そのために必要な知識や技術を学びたいと、本校への進学を志望しました」と話してくれた。
そして2年生になった現在、より具体的な将来像について尋ねると、「理想としては〝ありのままの自然環境〟というものを大切にしたいということを第一に考えています。その上で、例えば今、耕作放棄地が問題となっていますが、そういう土地の状態を調べて、外来種が問題となっていれば、それをうまく除去し、その土地の在来種である植物や動物が住みやすい環境に整える。さらに大事なことは、そこが私たち人にとっても楽しめる場として使えるということです。酪農学園大学に入学し学んできた中で思うことは、圧倒的な知識を持っている人がいることは必要ですが、それ以上にその場を維持していくということが重要だということです。多くの人々が残したいと思える環境を作って、その場所を保全していくということが私の夢です。例えるなら世界自然遺産の島である屋久島にある『森林公園ヤクスギランド』です。そこは自然環境としても価値がある状態で残されていながら、観光資源としても整備され守られているのです。私の身近であれば野幌森林公園も、人と動植物がちょうどよく住み分けられている自然環境があり、動物たちが普通に生活している様子を、人の都合で干渉することなく、その存在を実感できるという環境の在り方は、理想的な自然環境が守られていることだと思うのです」と話してくれた。


自然環境学実習で撮影した風景写真。中央の木の枝に1羽の鳥を発見(右の写真上)
クモに関する興味と講師たちへの感謝を語る
神馬さんが酪農学園大学への進学を決めた理由は、自然環境と人との共生だけでなく、実は〝クモ好き〟という意外な一面も大きく関係している。「子どもの頃は苦手だったのですが、オープンキャンパスのイベントでのクモに関する研究発表に興味をひかれ、昆虫生理生態学研究室の先生が手に乗せてクモを見せてくれたとき、単純にクモの動きがかわいいと思いました。その後、高校で窓にクモが巣を作っている様子を観察して、クモの巣の形の複雑さや、一本一本の糸にもそれぞれに役割があるといったことなど、クモについていろいろと調べるうちに、どんどん好きになったのです」。そんなクモ好きが高じてか、大学入学後、北海道での生息が未確認中のクモ一匹を野幌森林公園で発見した神馬さん。現在、そのクモの生態標本を日本蜘蛛学会の専門家に同定を依頼中だという。「現在、北海道で新たに発見された生態として報告することができるかもしれないという状況です」と、新種の発見に期待を膨らませる。
同時に、クモの研究を通じて、「学生の個人的な興味や研究に対して、とても協力的な先生が多いということも酪農学園大学の魅力の一つだと思います」と話す神馬さん。
「私の場合、エゾトタテグモという地面に巣を作る原始的なクモに関する研究をしたくて、その方法についてのアドバイスを求めて、昆虫生理生態学研究室の先生にメールしたのですが、それをしっかりと受け取って返信をいただきました。また私が発見したクモの生態標本を作る際も、生殖器を取るために必要な実体顕微鏡を貸していただいたり、その精密な写真を撮影してほしいというお願いにも快く対応していただきました。まだゼミにも所属していない一学生のために協力を惜しまない先生がいることも魅力の一つだと思いますし、選んで良かったと思っています」と話す。
野生動物から地球環境まで自然とのふれあいは楽しい
環境共生学類の授業は、植物の生殖方法、季節や気候、環境との適応方法などの植物生態学や、最近多く見られる獣害の問題、系統樹から生物の進化や分類についてなどを学ぶ野生動物学の基礎をはじめ、特に環境共生学類の2年生からは専門実習が授業のメインになるという。神馬さんが履修している自然環境学実習では、札幌市南区真駒内の山間部でクマの毛を採取するトラップの設置(動向を観察するためカメラも設置)や、あるいは森・川・湖・海などの土壌や水質などの環境分析を行う実習などもある。「自然環境学実習では、船に乗って洞爺湖の底から水面までの水を採取し、水深ごとの溶存酸素濃度(水中に溶けている酸素の量)の違いや、そこに存在する植物プランクトンの変化などを調べたりもするのです」と、自然環境学実習の楽しさを話してくれた。
さらに、「2年生はこれからゼミ(研究室)を選ぶことになるのですが、これまでクモの研究でいろいろとお手伝いしていただいた昆虫生理生態学研究室の先生のもとで研究できるのも楽しみですし、環境共生学類は、野生動物学領域と地球環境学領域に分かれ、よりフィールドワークも広がり、専門的な実習ができるので楽しみです」と神馬さん。どちらの領域を選ぶかはまだ迷っているとのことだが、自然環境とふれあいながら研究・実習を行いたいという神馬さんのような学生にとって、環境共生学類は実に魅力的な分野の一つであることは間違いないようだ。
(月刊ISM2026年9,10月号掲載記事をもとに制作)
【参考】関連ページ
◆Fetured Peoplele ― 学び、挑む、学生たち ―(2026年8月)
食卓に「おいしい」と「安全」を届けたい
農食環境学群 食と健康学類 4年 田中 理紗 さん
https://www.rakuno.ac.jp/47752.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2026年7月)
夢はディズニーランドのような牧場づくり
農食環境学群 循環農学類 2年 森脇 若菜 さん
https://www.rakuno.ac.jp/46844.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2026年6月)
人の健康の源となる動物の健康を守りたい
獣医学群 獣医学類 3年 パナリガン 尾崎 絢 さん
https://www.rakuno.ac.jp/46229.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2026年5月)
夢は誰もが一緒に食べられる食品開発
農食環境学群 食と健康学類 管理栄養士コース 2年 新井 愛仁花 さん
https://www.rakuno.ac.jp/45602.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2026年4月)
保護犬ボランティアも将来の夢
獣医学群 獣医保健看護学類 3年 伊東 璃乃 さん
https://www.rakuno.ac.jp/44586.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2026年3月)
目標は全日本学生馬術大会団体3位入賞〜「馬術部」を訪ねて~
馬術部 主将 本村 陸 さん(獣医学群 獣医学類 2年)
https://www.rakuno.ac.jp/44582.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2026年1・2月)
「全日本ホルスタイン共進会」優等賞入賞〜「乳牛研究会」を訪ねて~
農食環境学群 循環農学類 4年 瀨川 凛華さん
https://www.rakuno.ac.jp/43606.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年12月)
「紆余曲折を経て 〜「夢」を実現させるための道のり〜」
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https://www.rakuno.ac.jp/43598.html
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