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「全日本ホルスタイン共進会」優等賞入賞〜「乳牛研究会」を訪ねて
「全日本ホルスタイン共進会」優等賞入賞〜「乳牛研究会」を訪ねて
乳牛研究会 瀨川 凛華さん(農食環境学群 循環農学類 4年)

今号では酪農学園ならではのサークルとも言える「乳牛研究会」を取材した。10月に開催された全日本ホルスタイン共進会(ホルスタイン種の改良度合いを、各都道府県代表牛を一堂に集めて比較展示を行うもので、昭和26年より概ね5年に1度開催されており、日本酪農の発展とホルスタインの改良に大きく貢献している。)で、酪農学園大学の〝ドルビックポテトサラダミル号〟が見事優等賞第6席に入賞した。牛の保育・育成管理を行う乳牛研究会に所属する循環農学類4年生の瀨川凛華(せがわりんか)さんにサークルや共進会について説明していただいた。
乳牛研究会の活動内容
酪農学園大学の「乳牛研究会」は学内の部活動やサークルの中でも伝統があり、過去にも平成15年に共進会において受賞歴がある。
部には約50名が所属しているが、シフトを組んで当番を決め、全員で牛の保育や育成管理を行っている。また部には6つの班があり、部員はそれぞれ関心のある班に所属し、活動を行う。毎日牛の身体測定を行う体側班、牛との触れ合い方を新入生に指導するジャッジング班、勉強会で訪問する牧場を決めたりスケジューリングを行ったりする牧場見学班、大学内の農場にて指導を受けながら分娩に立ち会ったり、生まれた後のケアの方針などを決めたりする分娩班、企業とコラボレーションし(現在石屋製菓とのコラボレーションが決定している)商品の開発を行う商品開発班、そして瀨川さんが所属し共進会への出場を目指し活動を行う共進会班がある。
全日本ホルスタイン共進会とは
「共進会」がどういうものなのかは先に説明させていただいたが、端的に言ってしまうと、「乳牛の美人コンテスト」。乳牛が健康で長持ちするために必要な改良度合いを比較展示する。出場する牛は、コンテストに向け、入念に〝美しく〟磨き上げ準備を進める。
経産牛(お産を経験した牛)と、未経産牛の部門に分かれており、今回酪農学園大学は全国から29頭が出品された未経産牛部門第一部において入賞を果たした。
部門ごとに細かい審査項目があり、例えば経産牛では、乳房などが審査対象となり、張りのある乳房に仕上げるために出品時間に合わせて乳を貯めるなど細かく調整するそう。
今回酪農学園大学から出場したミルは未経産牛。未経産牛は、「体型のバランス」が要となるため、出場に向け、フィールド教育研究センター酪農生産ステーションの技師と乳牛研究会が協力して準備を進めてきた。

「共進会」出場に向けて
今回入賞したミルは酪農学園大学で種付けから出産・保育・育成を行ってきた自家生産牛。自家生産牛での受賞は大学初の快挙となった。
ミルは生まれた頃から共進会の出場を目指し育てられた。通常子牛にはミルクとスターターという子牛用の農耕飼料が与えられるが、ミルには栄養価の高いミルクの割合を増やして(通常の2倍)与えた。
共進会出場のためには、それぞれの牛に合った餌の調整、調教などが必要となる。
ところで「牛の体の美しさの基準とは?」と疑問に思い、尋ねると、「骨格構造の正確さ」にあるということだ。つまり、肋骨の長さや尻の角度、胸の深さなどがポイントとなる。ミルは系統的に太りやすい牛で、肉がつき過ぎると肋骨が美しく出なくなるため、農耕飼料(太りやすい飼料)を制限し草を多く与えた。また日中はパドックで運動させ運動量を増やした。そして毎週体側しコンディションをベストな状態に調整した。−食生活の管理と運動。人間が健やかでいるための条件と同じではないか。
本番では牛を引く人間と牛が15分かけて会場を周回して歩き、その間に審査が行われる。
ミルと人間の相性なども考えながら共進会班のメンバーで話し合い、瀨川さんがミルの調教担当として選ばれた。日頃のミルのケアに加え実際にミルをリードする練習も行ってきた。
特に苦労した点などを伺うと、5月、8月の大会時には2年生の学生がリードしたのだが、ミルが調教を嫌がり全く歩かない!という事態に。皆で話し合い、一旦調教を中断するという勇気ある決断を出した。それが功を奏し、10月の大会では見事に歩いてくれた。体のコンディションは勿論のこと、日頃の観察から牛の気質などにも気を配りながら皆で方針を考え、準備を進め、見事入賞に繋がった。
牛と真摯に向き合い、感謝を忘れない
今回ミルの調教担当となった瀨川さんに、牛との関わりや大会を通して感じたことを聞いてみた。
行っている作業の中で、一つでもめんどうくさいと思ってしまうと、牛が「間違っているよ」と教えてくれる。また、真摯に向き合っていると、今回のように、牛もそれに応えてくれると語った。元々大の動物好き。牛が日向ぼっこをしながら、反芻して口をもにょもにょと動かしている姿がたまらなく可愛いと言う。入賞の背景には、この牛への深い愛情もあるのだろう。そしてまた、同じサークルの先輩・友人、たくさんのことを教えてくれた大学内の農場の技師さん等、周りの環境に本当に恵まれていたと言い、「出会えて良かった」と振り返った。牛への愛情と、サークルの仲間や大学内農場スタッフへの信頼と感謝。
瀨川さんの言葉から、今回共進会に臨んだ〝チームの強さ〟をひしひしと感じた。今後の更なる躍進が楽しみだ。
(月刊ISM2026年1・2月号掲載記事をもとに制作)
【参考】関連ページ
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年12月)
「紆余曲折を経て 〜「夢」を実現させるための道のり〜」
獣医学群 獣医保健看護学類 4年 柳谷 拓さん
https://www.rakuno.ac.jp/43598.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年11月)
「野生動物生態研究会 〜野幌の身近な自然に目を向けて〜」
野生動物生態研究会 (代表) 嘉島 治久さん、(4年) 疋田 智さん
https://www.rakuno.ac.jp/43362.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年9・10月)
「人と動物が共生できる世界」を目指して
農食環境学群 環境共生学類 2年 家入 萌さん
https://www.rakuno.ac.jp/42987.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年8月)
「経験と出会いに感謝!「人の心」がわかる農業高校教師を目指して奮闘中!」
農食環境学群 循環農学類 2年 村井 聡一郎さん
https://www.rakuno.ac.jp/42959.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年7月)
「競走馬の安楽死を知って獣医の道を選択した」
獣医学群 獣医学類 3年 宇髙 瑠爽さん
https://www.rakuno.ac.jp/43968.html
◆Featured People ― 学び、挑む、学生たち ―(2025年6月)
「食と健康で人を笑顔にしたい」
農食環境学群 食と健康学類 管理栄養士コース 3年 和美 帆香さん
https://www.rakuno.ac.jp/43977.html
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