NEWS No.81(2026年度)
藤木純平講師(獣医学類)が第28回日本感染症医薬品協会奨励賞を受賞しました
藤木純平講師(獣医学類)が第28回日本感染症医薬品協会奨励賞を受賞しました。本賞は抗生物質及び関連医薬品の領域において、主として臨床に関連する優れた研究を行い、又は行いつつある者を発掘し、当該領域の研究を助成、育成すること等を目的に授与されるものです。受賞に繋がった藤木講師の研究業績は、細菌のみに感染するウイルス”バクテリオファージ”で細菌性感染症を治療するファージ療法に関するものです。
研究概要
現在、世界的な脅威となっている薬剤耐性菌(AMR)感染症に対する治療選択肢として、ファージ療法が大きな期待を集めています。しかし実際の臨床現場においては、病原細菌の「ファージ耐性化(進化)」が大きな障壁となります。
通常は、複数のファージを組み合わせたファージカクテル療法によって耐性化の抑止を図り、藤木講師らのグループも薬剤耐性緑膿菌のファージ耐性進化を抑止するカクテル設計原理を世界に先駆けて報告してきました。しかし、本学が日本で初めて実施したファージ療法臨床症例(岩野英知教授(本学学長/獣医学類 獣医生化学ユニット)が主導し、本学附属動物医療センターで伴侶動物を対象に実施:NHKサイエンスZEROなどで特集)からも、いかに高度に設計されたカクテルであっても、複雑な生体内においてファージ耐性菌の出現を完全に防ぎ切ることは、困難な場合があることも顕在化していました。そこで藤木講師らは、高度なファージカクテルによる抑止をも乗り越えて耐性進化する病原細菌を逆手に取り、最終的な逃げ道として標的細菌集団を“進化的な罠”へと嵌め落とす、新たなファージ治療基盤の構築と実証を進めてきました。
本研究の特徴は、病原細菌がファージ感染から逃れようとする過程を制御することで、ファージ耐性の代償として再び抗菌薬が効き易い状態へと進化を追込む点にあります(ファージ感受性と薬剤耐性の進化的トレードオフ)。今後の更なる臨床・フィールド実証を通し、ファージと抗菌薬を組み合わせた次世代型の治療モダリティを樹立することを目指しています。
受賞コメント
この度は大変名誉ある賞に選出いただき誠にありがとうございました。身に余る光栄に深く感激しております。選考委員会の皆様、ならびに関係各位の皆様に心より厚く御礼申し上げます。私一人の力では決して成し遂げることのできなかった研究の進展と今回の受賞であり、本学でのファージ療法臨床試験の体制を整えてこられた岩野教授や本学附属動物医療センターの獣医学類の先生方、そして共同研究者や研究協力者の方々にも改めて御礼申し上げます。
遺伝学者ドヴジャンスキーが「Nothing in biology makes sense except in the light of evolution」と遺したように、ファージ療法も進化の観点を取り入れることで、その治療的本質が理解され持続可能性を得ると考えています。多くのご支援やご協力を頂きながら、日本発の次世代感染症治療モダリティ基盤を世界へ向けて確立したいと強く念願しております。今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。

【関連】
◆日本感染症医薬品協会
https://www.antibiotics.or.jp/
◆日本感染症医薬品協会奨励賞受賞者
https://www.antibiotics.or.jp/news/incentive/winner/
◆「ファージ耐性は失敗ではない ~細菌の進化を逆手に取る~」(時事メディカル:岩野英知、藤木純平)
https://medical.jiji.com/topics/4407
◆獣医学類 藤木 純平 講師(獣医生化学ユニット)
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9461.html
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