NEWS NO.103(2025年度)
本学食と健康学類山口紗梨那さんが北海道畜産草地学会第14回大会でベストプレゼンテーション賞を受賞
2025年12月6日(土)・12月7日(日)で開催された北海道畜産草地学会第14回大会において、本学食と健康学類4年の山口紗梨那さん(乳科学研究室)がベストプレゼンテーション賞を受賞しました。

発表題名:ビフィズス菌添加による白カビ熟成チーズのアンモニア低減効果の検討
発表概要:カマンベールのような白カビチーズの熟成過程で発生するアンモニア臭は、風味や嗜好性に影響を与える要因の一つである。ヨーロッパではこの臭いが好まれるが、日本では苦手とされることもある。このアンモニア臭を抑制し、チーズの品質を向上させる可能性のあるビフィズス菌の応用について実験を行った。白カビ熟成チーズの製造過程において、熟成が進むにつれてアンモニアが生成される。このアンモニアの生成を抑制するために、 Bifidobacterium animalis subsp. lactisというビフィズス菌を添加した白カビチーズと、無添加のチーズでアンモニア量の経時変化を比較した。熟成開始直後は両者ともにアンモニア量は低いが、熟成が進むにつれてビフィズス菌無添加のチーズではアンモニア量が増加傾向を示した。一方、ビフィズス菌を添加したチーズでは、アンモニア量の増加が抑制されていることが示された。特に、熟成2週目以降にその差が顕著にみられた。この結果、ビフィズス菌の添加は、白カビチーズの熟成におけるアンモニア臭の低減に貢献する可能性が示唆された。



受賞者のコメント:ベストプレゼンテーション賞に選ばれると思っていなかったので、本当に驚きました。受賞時には驚きが強く、受賞を実感したのは翌日でした。今は、大学で行われる卒論発表会に向けての準備に気持ちが向いています。実験について教えていた研究室の後輩たちも一緒に喜んでくれました。今回の受賞は後輩たちのモチベーションアップにもつながったと感じています。


平山洋佑講師のコメント:他大学の優れた研究発表がある中で、山口さんの研究も優れた研究でした。所属にかかわらず、思い切りやりたいことをやりたいように行っていき、その行動に結果がついてくるということを体現してくれたと感じています。色々なことをチャレンジしていって欲しいと思っています。
栃原孝志准教授のコメント:今回の受賞は伝統的なナチュラルチーズの作り方において革新的な技術の一つであって、非常にユニークな切り口の研究であり、参加者の注目を浴びたのではないかと思っております。この研究がこれからますます発展していく可能性を今回の受賞が示していると感じました。

この研究は昨年から準備を行い、今年の4月から解析を進めてきました。どの菌株がアンモニアを減らす効果があるのか検証するため、基礎データ作りに試行錯誤を繰り返しました。今後の山口さんの研究は、研究データ収集に協力している研究室の3年生へと引き継がれていきます。山口さんは卒業後、北海道の乳製品製造企業へ就職し、ヨーグルト・チーズ・アイスクリーム・牛乳などの商品開発に携わります。
山口さんの今後の活躍を応援しています。


【関連】
◆食と健康学類 栃原 孝志 准教授(乳科学研究室)
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9372.html
◆食と健康学類 平山 洋佑 講師(乳科学研究室)
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/32447.html
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