本学山田未知准教授と岩﨑智仁教授が日本オラクル株式会社と共同で「豚の分娩開始時刻をAIやIoTの技術を利用して予測する実証研究」を実施中
Date:2020.06.24
本学、循環農学類の山田未知准教授と食と健康学類の岩﨑智仁教授は、日本オラクル株式会社と共同で「豚の分娩開始時刻をAIやIoTの技術を利用して予測する実証研究」を実施しております。この研究が進展することで人手不足である養豚業界で働く方の負担が減り、母豚・子豚の安全性も高まるなどの効果が期待されます。 養豚業における管理作業では、飼育者の判断や経験値への依存度が高い一方、国産豚肉の需要拡大も相まって、養豚経営体の大規模化が進み1人あたりの飼育頭数が増加し、慢性的な人手不足が課題となっております。そのような中で、豚の行動や状況をセンシング・分析し、そのデータを活用することにより、長時間労働などの解消や経験値に依存しない最適な飼育環境の実現など、より精度の高い管理手法の開発が可能となり、今後の養豚業における生産性の向上に寄与することが期待できます。 実証実験では、まず、母豚と子豚のケアで多くの時間が必要となる分娩に着目し、IoT技術(定点カメラ)による非接触による豚の行動データとして、豚の色を識別・追跡することにより、母豚の立ち上がりなどの運動量を検出して測定しました。さらに本学の知見や経験に基づいたデータの蓄積から、AIを活用することにより、母豚の運動量の推移から出産時刻を予測しました。NEWS NO.5(2020年度)
本学山田未知准教授と岩﨑智仁教授が日本オラクル株式会社と共同で 「豚の分娩開始時刻をAIやIoTの技術を利用して予測する実証研究」を実施中

この実証実験により、分娩時期を推定するモデル化や技術開発がより進むことが期待されます。さらに、このことが実用化すれば全国の養豚業を営む経営体における作業の省力化・効率化に貢献できます。 今回は、サンプル数が少ないことから、すぐに実用化につながるかはわかりませんが、課題を解決するような更なる研究に発展することも考えられます。

山田未知 准教授(循環農学類, 中小家畜飼養学)のコメント
養豚経営体においては、繁殖・肥育一貫経営(子豚を産ませて肥育して出荷する経営)が主流であり、子豚を産ませないと収益が得られません。つまり、分娩は養豚経営体にとって重要なことです。現在は無看護分娩(分娩時にヒトが付き添わない)も多くなってきましたが、1頭でも多くの豚を生きた状態で分娩させるため、看護分娩(分娩時ヒトが付き添う)も行われています。このようなことから、本技術が開発され、分娩時間を予測できるシステムが開発されれば、作業者の負担も低減されると期待しております。