本学農食環境学群と附属とわの森三愛高校との共同研究成果発表会を開催

Date:2022.03.23

NEWS NO.78(2021年度)

本学農食環境学群と附属とわの森三愛高校との共同研究成果発表会を開催

本学農食環境学群と附属とわの森三愛高校との高大一貫教育の連携強化を目的とした共同研究成果発表会が3月9日(水)に、ハイブリット形式で行われ、約100名(研究にかかわった生徒約30名、オンライン参加約20名、学生ホール来場教職員約50名)が参加しました。

とわの森三愛高校では酪農学園大学の附属校として、各コースで大学との連携授業が行われています。今回、大学での研究課題に取り組んだ学びを生徒が体験するのは初めてとなります。また、最初の一歩として高校生が取り組みやすい「農」や「食」に関する研究課題とするため、農食環境学群との連携となりました。

ランチBOXクリアファイルを参加者に渡す生徒

オリジナルのクリアファイル

 

 

 

 

 

 


北岡光彦副学長の司会進行の下、園田高広学群長の主催者あいさつ、研究成果発表、質疑応答と続き、最後に堂地修学長と西田丈夫校長が講評を述べました。

北岡光彦副学長

園田高広学群長

 

 

 

 

 


 

堂地修学長

西田丈夫校長


(1)循環農学類×農場教育

発表課題:「新規造成水田1年目における水稲品種“ななつぼし”の栽培への取り組み」

発表者:附属高校農場長 西川 謙 (機農コース 教諭)、循環農学類 准教授 岡本 吉弘(植物育種学研究室)

研究概要:本研究では、2021年度から酪農学園初の水田(約16アール)を造成し水稲栽培を開始します。水稲栽培実習教育に活用可能な基礎情報を得るために水稲品種「ななつぼし」を供試し、水稲栽培に関わる管理全般(種子の予措、育苗、田植え、水管理、収穫)について記録します。また、収穫期(9月中旬-10月)には作物栽培の最終目標である収量ならびに玄米品質を調査します。これにより、附属高校をはじめ大学教職課程や循環農学類の栽培分野の実習教育内容への反映が期待されます。
循環農学類  岡本 吉弘 准教授のコメント

米作りは八十八の工程から成ると言われていますが、酪農学園創立88年の年に、互いに本学園出身であり、農場教育に関わる2人が共同研究に取り組むチャンスを与えられたことは天命だと思っています。低温水田となり苦労した面も多くありましたが、水田が造成されたことでカエルの鳴き声が聞こえるようになり、水カマキリなどの水生昆虫もたくさん見られるようになりました。どこから来たのか多様な生物が水田に集まって来ます。皆さんぜひ、田んぼを見にきてください。

(2)食と健康学類×フードクリエイトコース

発表課題:「アスパラバスの高付加価値化を目指した調理方法、貯蔵方法の検討」

発表者:食と健康学類 准教授 上野 敬司(食品栄養化学研究室)    
                フードクリエイトコース2年 佐藤 日向、菅原 佑花、松井 来夢

研究概要:アスパラガス基部に砂糖水を漬けた状態で冷蔵保管するとアスパラガスの中でオリゴ糖量が増加するのではないかと予想しています。本研究では、この検証のため、保管前後の糖、オリゴ糖含量を分析します。また砂糖水の浸漬がアスパラガスの味質に与える影響も調査します。
砂糖水の浸漬により、オリゴ糖含量が増加し、また味質が好ましい変化を示すことが確認できればアスパラガスの家庭での新たな保管方法や調理前の処理方法として提案できるようになることが期待されます。

食と健康学類  上野 敬司 准教授のコメント

高校生との共同研究ということもあり、わかりやすく興味を持ってもらいやすそうな内容を企画しました。実用化までのハードルは随分高いと感じますが、いろいろと試験を重ね、継続していきたいと考えています。この取組が高校生活の刺激の一つになったようで嬉しいです。高校生と一緒に楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。

 


高校生の感想

菅原 佑花さん :高校生とは違い大学生になったら授業以外に自分の興味のあることを研究したり、専門的なことが学べる自由な時間があると感じました.

佐藤 日向さん:実験は成功、失敗にかわらず、それまでの過程が大事なのだということを実感しました。

 


(3)食と健康学類×フードクリエイトコース

発表課題:「江別市における“食と健康”推進プロジェクト」

発表者:食と健康学類 講師 長村 知幸(マーケティング研究室)、フードクリエイトコース長 家山麻希(フードクリエイトコース 教諭) フードクリエイトコース2年 大野 素生、外園 奈々美、高杉 風太、高橋  一歌

研究概要:本研究では、 江別野菜魅力発信MAP作成プロジェクト(コンテンツ制作企画)、野菜を使った惣菜開発プロジェクト(連携先:café CAMPUS)を実践します。野菜を美味しく食べるための取り組み(商品開発・レシピ開発)を行うことにより、市民の野菜類摂取量の改善や、江別市民の健康増進に役立つ内容とします。高校生が考案した商品や活動は興味を持ってもらいやすいため、江別市のPRに役立つような企画を実施することで地域課題解決への効果が期待できると考えています。

食と健康学類 長村 知幸 講師のコメント

高校生考案の「350gの野菜たっぷりハンバーグBOX』を販売するにあたり、えべつベジタブルライフ加盟店のcafé CAMPUSやカフェノルンへの協力依頼、本学の卒業生が経営するアンビシャスファームでの見学や野菜の仕入れ、江別市健康推進室では行政の考えを学びました。また、私の研究室に所属するとわの森三愛高校OGなど、大学生との意見交換も行いました。


高校生の感想

大野 素生さん:350g分の野菜をとれる弁当の開発を4人で考えました。メニューを一から考え、店の方にプレゼンし、ネーミングや盛り付けを工夫し、商品をお客さんに販売しました。この経験を将来に生かして、自分の夢を叶えたいと思います。

高杉 風太さん:商品作りのほかにラベルやチラシの作成、店の運営についても学びました。暴風雪の影響でお客さんが来られなくなりお弁当のキャンセルが相次いで起きたことも、すべて含めて今回の経験は社会人になってからも役に立つかもしれないと思いました。とても勉強になりました。

外園 奈々美さん:お客さんから声を掛けてもらったことが印象に残りました。今度は江別産の色々な食材と合わせたスイーツを考えて販売してみたいです。

高橋 一歌さん:商品企画から販売、流通のことを学べてとても良い経験になりました。江別の野菜を使ったパン販売などの話を聞いてやってみたいと思いました。

(4)環境共生学類×総合進学コース

発表課題:「酪農学園大学に隣接する野幌森林公園を利用する秋期及び冬期のエゾシカの生息状況調査」

発表者:環境共生学類 准教授 立木 靖之(生物多様性保全研究室)

研究概要:野幌森林公園及びその周辺の森林で、近年エゾシカが越冬していることが確認されています。その数は未だそれほど多くないと予想されていますが、群れの規模や構成などは明らかになっていません。どれほどのエゾシカが越冬しているかということが明らかになると、今後必要な対策を検討することができます。そこで本研究では自動撮影装置及び痕跡調査を当該林内で実施し、秋期及び越冬期のエゾシカの生息状況を明らかにすることを目的としています。

環境共生学類 立木 靖之 准教授のコメント

高校生には私の研究室の学生たちと一緒に、エゾシカの痕跡調査をするためのカメラの装置作業やカメラに映った動物の画像データをパソコンに移す作業、調査データのまとめまで一通り体験してもらいました。本学園周辺でのエゾシカの駆除は実施されていないので、今後確実にエゾシカの個体数は増加します。その対応策のためにも研究を継続していく必要があります。


高校生の感想

松澤 陸翔さんと溝輝 良さん:エゾシカの痕跡調査などの体験を通じて生息状況を知ることができました。