北村浩教授ら研究成果を発表 ~血糖値を調節する脳の酵素を発見~

Date:2022.05.26

NEWS NO.8(2022年度)
北村浩教授ら研究成果を発
~血糖値を調節する脳の酵素を発見~

本学獣医学群獣医学類実験動物学ユニットの北村浩教授ら共同研究グループは、間脳視床下部の神経細胞で発現するUSP2という酵素が血糖値を調節することを見出し、米国神経科学会(Society for Neuroscience)の機関誌であるThe Journal of Neuroscienceに研究成果を報告しました。

<論文演題>(和訳)
USP2 in the ventromedial hypothalamus modifies blood glucose levels by controlling sympathetic nervous activation
(視床下部腹内側核のUSP2が交感神経を介して血糖値を調節する)
〇北村浩教授、藤本政毅助教、橋本茉由子さん(OG,現在は大阪大谷大学助教として勤務)、北海道大学、大阪大谷大学

<論文発表>
Hashimoto M, Fujimoto M, Konno K, Lee MM, Yamada Y, Yamashita K, Toda C, Tomura M, Watanabe M, Inanami O, Kitamura H. USP2 in the ventromedial hypothalamus modifies blood glucose levels by controlling sympathetic nervous activation. The Journal of Neuroscience 3 May 2022, JN-RM-2504-21; DOI: https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.2504-21.2022

<論文要旨>
平成28年度の厚生労働省の調査に依れば、全国で1,000万人は糖尿病が強く疑われているとされます。糖尿病は腎不全や動脈硬化症など他の生活習慣病のきっかけとなる疾患であり、日常生活で上手に血糖値をコントロールするかがヒトの医療のみならず獣医医療においても問題となります。研究グループはUSP2が視床下部の神経細胞に蓄積する酸化ストレスを軽減することで、交感神経の活動を抑え、通常生活における血糖値の上昇を抑えることを明らかにしました。

 

北村浩教授のコメント

これまで私たちは主に脂肪組織や肝臓、骨格筋、精巣といった末梢臓器のエネルギー調節におけるUSP2の役割に注目してきましたが、今回の研究により、脳を介したエネルギー代謝の中枢制御にもUSP2が大切な役割を果たすことを明らかにできました。生活習慣病の治療標的分子としてのUSP2の可能性について今後も検討を重ねたいです。本研究は様々な方のサポートにより達成できましたが、特に橋本先生、藤本先生が互いの長所をうまく生かして研究を展開できたことを嬉しく思います。

 

 

 

 


【参考】関連リンク

◇2022.05.11プレスリリース「本学獣医学類の北村浩教授が血糖値を調節する脳の酵素を発見」
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/21309.html
2021.10.27「本学の共同研究成果報告会を開催」
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/17941.html
2019.09.02「CORNING NEWSに本学獣医学類の北村浩教授のインタビューが掲載」
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/3100.html
2019.07.02「獣医学類の北村浩教授がコーニングインターナショナル社のコーニングライフサイエンス2019年度アンバサダーに採択
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/3213.html
2018.11.22「本学 獣医学研究科 1年 橋本茉由子さんが平成31年度日本学術振興会 特別研究員(DC1)に採用内定」
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/3213.html