獣医学類5年の大杉祐生さんが第68回日本寄生虫学会で北日本合同大会長賞を受賞

Date:2022.10.20

NEWS NO.31(2022年度)

獣医学類5年の大杉祐生さんが第68回日本寄生虫学会で北日本合同大会長賞を受賞

2022年10月15日に開かれた、第68回日本寄生虫学会・日本衛生動物学会 北日本支部合同大会において、本学獣医学類5年の大杉祐生さん(医動物学ユニット)が、北日本支部合同大会長賞を受賞しました。

 

 

<受賞演題>


「奄美群島におけるノネコおよびノラネコの寄生虫保有状況」
○大杉祐生1, 伊藤圭子2, 常盤俊大3, 尾針由真1, 浅川満彦1(1酪農学園大学・獣医学群・医動物学 2奄美いんまや動物病院,3日本獣医生命科学大学・獣医学部・獣医寄生虫学)

<研究概要>


イエネコは世界的に深刻な生態系被害を引き起こす生物種として位置づけられており、固有種が多数生息する奄美群島においても野外のネコによる生態系への被害や公衆衛生学的リスクを増大させることが問題となっています。本研究では、奄美群島における野外のネコの糞便から寄生虫保有状況を調査し、検出した寄生虫の生活環から生態系における影響評価と公衆衛生上のリスク評価を試みました。また、奄美大島本島内での森林内で捕獲されたネコの集団と集落周辺で捕獲されたネコの集団の寄生虫検出から統計学的解析を行い比較を行いました。
結果、他の生物の捕食を証明する寄生虫が検出され、トキソプラズマ様オーシストも見られたことから野外のネコによる生態系への影響と公衆衛生上の問題が示唆されました。また、奄美大島本島の森林内集団と集落周辺の集団で寄生虫検出に統計学的差が見られなかったことから、集落周辺に住むいわゆるノラネコも多いに生態系、公衆衛生上問題であることが今回の研究で明らかとなりました。

<受賞コメント>


今回、このような名誉ある賞を頂き、ご指導いただいた浅川先生、尾針先生をはじめ共同発表者の先生方に感謝申し上げます。
私は生態学や野生動物医学に興味があり、今回のテーマは研究室配属前から希望していたものでしたので、非常に喜ばしく思います。
ノネコ問題は獣医学領域ではあまり認知されていないですが、生態系への影響や公衆衛生、動物福祉など様々な問題を孕んでおり、獣医学からも解決していくべきテーマであります。今回の研究がノネコ問題周知の一助になれば幸いです。
今回の結果に甘んじることなく、身を引き締め直し精進していく所存です。

 

浅川満彦教授からのコメント

彼は野生動物における寄生虫病の問題点について強い興味を持っており、
今回、奄美諸島をモデルに調査しております。今般の受賞は、彼の人生にプラスになると思います。

 


【参考】教員・研究室一覧
◆浅川満彦教授 医動物学ユニット
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9416.html