獣医学類蒔田教授の研究課題が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)に採択されました

Date:2023.05.24

NEWS No.6(2023年度)
獣医学類蒔田教授の研究課題が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の 
地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)に採択されました

 

 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)は、文部科学省と外務省の支援のもと、科学技術外交の強化を目的として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)と国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、独立行政法人国際協力機構(JICA)が連携して実施するプログラムです。
 開発途上国のニーズを基に、地球規模課題を対象とし、社会実装の構想を有する国際共同研究を、政府開発援助(ODA)と連携して推進します。そして、地球規模課題解決及び科学技術水準の向上につながる新たな知見や技術を獲得することや、これらを通じたイノベーションの創出を目的としています。また、その国際共同研究を通じて、開発途上国の自立的研究開発能力の向上と持続可能な開発目標(SDGs)などの課題解決を目指していけるよう、持続的な活動体制の構築を図ります。

 今回、感染症分野について研究提案の募集が行われ、14件の応募から2件の採択となり、そのうち1件が本学獣医学類の蒔田教授(獣医疫学ユニット)の研究課題「ワンヘルス・教育・官⺠連携による顧みられない⼈獣共通感染症介⼊の共同デザインに関する研究開発」が採択されました。
 研究科課題の相手国となるタンザニアは、SATREPSにおける感染症分野において、初めての国際共同研究となります。

 

研究課題の概要

ブルセラ症と⼈獣共通結核は世界に広く分布する⼈獣共通感染症です。乳製品の喫⾷や動物との接触により、⼈に感染します。そして家畜には流産や乳量減少などの経済被害をもたらします。
発展途上国では、予算とセクター間連携が不⼗分であり、このような病気が制御できていません。本研究では、タンザニアの関係者が集まり、感染症の伝播と⼈の経済活動を定量化したシステムダイナミクスモデルを構築します。仮想空間でのシミュレーションから、疾病制御に⾄るレバレッジ・ポイント(ゲームチェンジャーとなるてこの⽀点)を⾒つけ、デジタル技術でそのポイントに関する教材を作成し、ナッジ(より良い選択を⾃発的に取れるよう促す⼿法)を取り⼊れたコミュニティ教育と官⺠連携推進により⾏動変容を起こし、動物と⼈の感染を低減させます。
日本側の共同研究機関は、帯広畜産大学、山口大学、東京大学、NECソリューションズイノベータ株式会社、有限会社谷川企画です。

 

蒔田教授のコメント

 

「1995年に獣医師になってから、日本、アジア、アフリカで感染症と向き合いながら、この根深い問題の解決に、多くの研究者と議論し知恵を絞った提案が、ようやく採択されました。
問題解決の実現を望む声も、懐疑的な声もお聞きしています。ぶつかる壁は必ずあるでしょう。しかし、実際に挑戦しなければそこに壁があることさえ分からない。私たちの信じるワンヘルスが、世界の感染症対策の追い風となるよう、多分野、多国籍、産学連携のチームでこれから第一歩を踏み出します。どうか応援してください。」

 


参考

国立研究法人 日本医療研究開発機構(AMED)プレスリリース
  https://www.amed.go.jp/news/release_20230518.html
採択研究課題の概要
  https://www.amed.go.jp/content/000113022.pdf

酪農学園大学獣医疫学ユニット
  https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9430.html
酪農学園大学WOAH食の安全コラボレーティングセンター
  https://rakuno-woahcentre.org/