RGU生物図鑑【マクキヌガサタケ】(幕衣笠茸)
Date:2019.10.18
NEWS NO.56(2019年度) RGU生物図鑑【マクキヌガサタケ】(幕衣笠茸)
学名:Phallus impudicus var.togatus 英名:long net stinkhorn veiled lady
(Phallus → 男根の意 impudicus → 淫らな toga → 緩やかな外衣 )
1. マクキヌガサタケはハラタケ綱スッポンタケ目(Phallales)スッポンタケ科(Phallaceae)スッポンタケ属(Phallus Junius ex L.)に分類されます。
2. 他の腐生菌により基質が分解された後、発生まで十年以上を要する二次的腐生菌です。
3. 原基⇒幼菌(菌蕾)⇒皮膜裂開⇒子実体伸長⇒子実体成熟⇒老菌の生長過程を辿ります。
4. マクキヌガサタケの幼菌は春季から秋季にかけ菌糸を伸長し、原基は約2か月ほどで6cmを超す卵形の成熟菌蕾になります。
5. 菌蕾が破れる以前の幼菌には「臭い」は殆どありませんので、菌蕾を薄切りに食する方もいます。
6. 竹林に発生するキヌガサタケは「きのこの女王」「幻のきのこ」と異名をとるほどで、マクキヌガサタケも「きのこの女王」に準じると考えます。
7. スポンジ状の柄(=托)を包むようにレースの菌網という附属器官が頭部から地面近くまで広げます。
8. キヌガサタケの菌網は地表まで広がるのに対し、マクキヌガサタケの菌網は太く粗く、丈も短く下端は細かくなるのが特徴です。
9. 幼菌時は卵型の菌蕾(きんらい)をつくり、成熟すると裂開し、傘を備えた柄(中空でスポンジ状の托)を伸ばします。
10. 傘は円錐形で網目状の隆起があり、傘表面には粘液性で暗緑色の基本体=グレバ(胞子をつくる組織)を付着しています。
11. 液化したグレバ(gleba)には胞子が含まれており、空気に触れると悪臭を放ち、ハエ・ハネカクシ・ナメクジなどを誘い、胞子を散布してもらいます。
12. 昆虫などは悪臭のグレバが好物のようで、3時間も経過するともう食べ切ります。
13. 国内では栽培方法が確立されておらず、マクキヌガサタケは準絶滅危惧種(NT)に指定されています。
14. グレバを洗い流し、中華スープ(スースン)や中空の托に詰め物をし料理します。
15. マクキヌガサタケはタンパク質が多いため味わいが深く、キノコなのにシャキシャキ感のある独特な食材です。
16. 中国料理、フランス料理やイタリア料理などで高級食材として扱われています。
17. キヌガサタケは多くのアミノ酸を含み、食物繊維も多く、Ca、K、Fe、Mg、Zn、Naなどのミネラルも含まれています。
18. ダイエット効果、抗がん作用、高血圧の改善、滋養強壮、免疫力向上、利尿効果、ノイローゼ症状の改善など多岐にわたる効能があるようです。