大学院獣医学研究科2年の今泉法子さんが日本家畜衛生学会第98回大会で奨励賞を受賞しました。

Date:2024.01.15

NEWS No.81(2023年度)
大学院獣医学研究科2年の今泉法子さんが日本家畜衛生学会第98回大会で奨励賞を受賞しました。

 

<受賞演題>

「マイコプラズマ性乳房炎における乳腺組織の炎症応答は乳腺上皮細胞と単核球の相互作用により増強される」

<研究概要>

マイコプラズマ性乳房炎は、泌乳牛が発症する難治性疾患として問題となっています。致死性ではないものの、急激な泌乳停止や、1頭発症すると急速に農場内で感染が広がるなど、酪農産業に多大な経済的損失をもたらします。
マイコプラズマ性乳房炎の発症個体の乳房では、激しい炎症が認められますが、その詳しいメカニズムは解明されていません。
本研究は、ウシの乳房炎の初期に重要な役割を担っている単核球(リンパ球やマクロファージなどの免疫に特化した細胞)とウシ乳腺上皮細胞(牛乳を作ると同時に免疫応答も担う細胞)の相互作用が乳房における炎症を増強する可能性を示しました。

<受賞コメント>

 

家畜衛生の専門家が集まる学会において自身の研究を評価していただき大変光栄に思います。樋口教授、権平准教授を始め、研究活動を支えてくださった皆様に感謝申し上げます。
本学会では、研究発表とともに、「薬剤耐性」というテーマで獣医畜産学領域の専門家による家畜衛生フォーラムも開催されました。その中で、感染症の制御としての抗菌薬の使い方について学ぶとともに、マイコプラズマ感染症の制御について改めて深く考えるきっかけとなりました。
マイコプラズマ感染症は現場でも課題が多くあります。研究者や獣医師、生産者の皆様と連携した感染症制御の確立に向けて、研究を通して貢献できるよう邁進してまいります。

<担当教員からのコメント>

樋口:マイコプラズマ感染症について、免疫学的側面からアプローチしたものです。多くの動物種においてこれらの研究は行われておらず、広く獣医学領域での応用が期待されます。
権平:おめでとうございます。どんどん発表がうまくなっていますので、今後もレベルアップを期待しています。