附属動物医療センターに新たなCT装置(コンピューター断層撮影装置)を導入
Date:2025.03.14
NEWS No.81(2024年度)
附属動物医療センターに新たなCT装置(コンピューター断層撮影装置)を導入
附属動物医療センターのCT検査室に新たにCT装置(コンピュータ断層撮影装置)を導入しました。
CT検査はX線を利用して、装置が身体の周囲を360度回転しながら連続撮影し、断面画像を撮影します。
得られた画像から3D画像が得られるのも特徴で、主に腫瘍などの病変検出、血管や骨格の異常把握に利用します。
今回導入したCT装置には、大きく3つの特長があります。
1つ目は、本学で以前使用していたCT装置と比べて撮影にかかる時間を短縮できることです。
今までは、1回転で撮影できる枚数は16枚でしたが、今回導入したCT装置では64枚撮影することができ、1回転でより広範囲の撮影が可能になりました。また、1回転するスピードも速くなっていることから、従来の1/2~1/3の時間で診断するために十分なクオリティの画像を撮影できるようになりました。
また、撮影できるスピードが速くなることから、一瞬でも静止する瞬間を撮影できるチャンスが増えることになります。CT検査は、基本的には麻酔をかけての検査になります。しかし本装置を使うことで、麻酔リスクの高い症例や病状が悪くあまり動けない症例に対しても、無麻酔で撮影できる機会が増えることが期待されています。
2つ目は、今回導入したCT装置には、デュアルエナジー撮影という技術が使われていることです。
基本的にCT装置は、一度の撮影で1つのX線エネルギー画像を取得しますが、デュアルエナジー撮影では、1度の撮影で異なる2つのX線エネルギー画像を同時に取得することができます。その技術により、形態だけではなく、結石の種類の傾向や胆石、胆汁などの物質の状態がどのように変化しているのかをCT装置で評価できる可能性があります。また、組織中の水分密度を評価出来るため人医療では、MRI検査でなければ評価出来なかった骨組織に対する炎症の診断に利用される場合があります。これらの評価や診断がCT検査で代用出来れば、検査時間の大幅な短縮につながります。このことは、検査を受ける動物達にとって負担を減らせるメリットとなります。
3つ目は、ハイレゾ技術により、従来よりも細かい構造の評価ができるようになります。
この技術により、人医療で小さくて詳細な確認が出来なかった部分の骨構造や骨折の評価が可能となっています。このことは、超小型犬や猫に対する診断精度の向上や更に小さなエキゾチックアニマルへの診断も詳細に行えるようになることが期待されています。
デュアルエナジー、ハイレゾ技術を搭載したCT装置は、アジア圏で導入されているのは2台で、そのうちの1台を導入しており、アジア圏の獣医系大学では唯一になります。