「WOAH食の安全コラボレーティングセンター」 アジア地域WOAH加盟国を対象とした薬剤耐性菌研修を本学で実施

Date:2025.07.10

NEWS NO.31(2025年度)
「WOAH食の安全コラボレーティングセンター」 アジア地域WOAH加盟国を対象とした薬剤耐性菌研修を本学で実施

酪農学園大学獣医学群は、国際獣疫事務局(WOAH: World Organisation for Animal Health)より「食の安全コラボレーティングセンター」に指定されており、アジア太平洋地域やアフリカ地域を対象としたオンラインセミナー、短期研修、さらには本学大学院(博士課程・修士課程)における人材育成など、国際的な教育・研究活動を展開しています。

2025年77日(月)から10日(木)までの4日間、本学ではカンボジア、台湾、ネパール、マレーシアから、それぞれ薬剤耐性菌の担当者1名を招へいし、同じくWOAHコラボレーティングセンターである農林水産省動物用医薬品検査所動物分野AMRセンターとの共催により、WOAH薬剤耐性菌研修を実施しました。
研修では、薬剤耐性菌に関する講義や基礎的な診断手法の研修に加え、疫学、リスクアナリシス、サーベイランス(監視体制)に関する講義および実習が行われました。本学からは臼井優 教授(食品衛生学ユニット)と蒔田浩平 教授(獣医疫学ユニット)が講義・実習を担当しました。研修の最終日には、各国の現場で本研修の成果を活かせるよう、「アクションプラン」の作成にも取り組みました。


薬剤耐性菌の講義を行う蒔田浩平教授

ロールプレイング形式での研修


WOAH薬剤耐性菌研修 担当者 蒔田浩平教授のコメント

薬剤耐性(AMR)は、人・動物・環境のすべてに関わる“ワンヘルス”の視点から取り組むべき、世界的な課題です。本研修では、アジア各国の現場でAMR対策を担う実務者の方々に向けて、診断技術や疫学、サーベイランスに関する知識と実践的な手法を提供しています。
このような国際研修を酪農学園大学で実施する意義は、本学が農場から食卓まで、また環境の専門性を横断的に備える“実学教育”の場であることに加え、国際協力の素地があり、ヨーロッパ獣医学教育機関協会(EAEVE)の認証を取得した国際基準の教育・研究施設が整っている点にあります。
研修参加者が、それぞれの国に戻った後も、ここでの学びを活かしてAMR対策を推進できるよう、アクションプランの策定にも力を入れています。今後もWOAH食の安全コラボレーティングセンターとして、アジア地域における人材育成と国際的な連携のハブとしての役割を果たしていきたいと考えています。


WOAH薬剤耐性菌研修 参加者のコメント

Dr.Humairak binti Shariruzi(マレーシア)


現在、マレーシア政府の獣医検査の研究所「Makmal Veterinar Zon Utara(Northern Zone Veterinary Laboratory)」で勤務しています。この研究所では、動物の病気の診断、感染症の監視・防疫、食品の安全と衛生に関する検査などを行っています。
今回、WOAH薬剤耐性菌研修プログラムに参加する機会を得て、薬剤耐性菌に関する診断技術や、日本のガイドラインに基づいた検査体制について学ぶことができました。動物をあつかう研究所として、薬剤耐性菌の診断方法について精度の高い日本の技術を間近で学べたことは、非常に大きな収穫でした。
また酪農学園大学は広大で自然豊かな美しいキャンパスで学生の皆さんも礼儀正しく、落ち着いた雰囲気の中で学ぶ姿が印象的でした。
帰国後は、ここで得た知識と技術を、私の研究所のチームにも共有し、より信頼性の高い検査体制づくりに役立てたいと考えています。


WOAH薬剤耐性菌研修の参加者4名


【関連】

◇酪農学園大学獣医学群WOAH食の安全コラボレーティングセンター
https://rakuno-woahcentre.org/

◇酪農学園大学YouTube動画「ヨーロッパ獣医学教育機関協会(EAEVE)の国際認証取得と獣医学教育改革への取り組み」
https://www.youtube.com/watch?v=4zdTqH0zVAo&t

◇ヨーロッパ獣医学教育機関協会(EAEVE)の認証を取得
https://www.rakuno.ac.jp/archives/35614.html

◇蒔田浩平教授(獣医疫学ユニット)
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9430.html