2018酪農学園大学ワイン完成報告会を開催

Date:2019.03.18

NEWS NO.109(2018年度)

2018酪農学園大学ワイン完成報告会を開催

2018酪農学園大学ワイン完成報告会が3月1日(金)、ホテルエミシア札幌にて開催されました。本学と協定を結んでいる北海道ワイン株式会社をはじめ製造にご協力いただいた関係者や報道記者などおよそ60人が出席し、ワインの出来をじっくり味わいました。

本学のワイン製作プロジェクトは、2015年度よりはじまり今年度で4年目となります。本学学生による「酪農学園大学オリジナルワインプロジェクト」(通称:ROWP)が、主体となって取り組んでいます。今年度からは、本学OBで砂川市に農園を持つ高橋祥二さんの農場を共同管理したり、ラベルの文字やイラストも学生のオリジナルデザインへと一新し、学生たちの活動は年々規模が拡大しています。4月から正式な課外活動団体(サークル)としてさまざまな学部・学年の学生が関われるような組織づくりをしていくとともに、本学で栽培されたブドウを100%使ったオリジナルワインの醸造を目指し、まい進を続けています。

食と健康学類長 竹田保之学類長による開会のあいさつ

北海道ワイン株式会社 営業部次長 中澤中様による来賓あいさつ

竹花一茂学長より
乾杯!


立食パーティ形式で会は進み
オリジナルワインを楽しんだ

酪農学園大学オリジナルワインの第3弾となる2018ヴィンテージワイン

農食環境学群 堂地修学群長による閉会のあいさつ


ワインに関わる学生たちが今年の成果を報告

西村 有未さん(食と健康学類1年)

「2018ヴィンテージボトルのラベルデザインについて」

ラベルデザインは、今年は大きく一変しました。酪農学園大学を代表するホルスタインや、私たちROWP(ロープ)とかけて綱とブドウの枝葉を描きました。またROWPのロゴは、ブドウ畑の土壌、地形、気候等の特徴を示すテロワールを意識したデザインとし、私たちのワインが有名になってほしいという想いから、ブドウの房を王冠にしました。

高校生のときに参加したオープンキャパスでROWPについて知り、本学を志望しました。

つらいこともありましたが充実した1年間でした。デザイン製作がスムーズに進まなかったり、農場での作業が人数足りなくて予定していた時間で終わらなかったり、想定外がいくつかあったのですが、思い返すと楽しい日々でした。やっぱり、自分のやりたいことをやれていたということが良かったです。4月からは私が引っ張っていきたいと思っています。将来的には全国から発注を取ったり、自分が卒業したあとは後輩たちの手で販売を拡大し世界から発注があったり、ROWPの歴史が積み重なっていくように頑張ります。

 

デザインしたラベル

【コンセプト】

・今年はデザインを大きく一新し、学生らが主体となって考案したものに。

・酪農学園大学を代表するホルスタインや、私達ROWPとかけて綱とブドウの枝葉を描いた。

・前年度のデザインの雰囲気を残しつつ、シックにラベルをあしらった形に。

 

 

 

ROWPのロゴマーク

 

【ROWPのロゴマークについて】

・ブドウ畑の土壌、地形、気候等の特徴を示すテロワールを意識したデザイン。

・これからもROWPの歴史が続きますようにとの願いをこめて遺跡や船、風車を描いた。

・酪農学園ということで雲や大地に牛模様をあしらう。

・私たちのワインが有名になって欲しいという想いから、ブドウの房を王冠に!

 


平田 松太郎さん(食と健康学類4年 応用微生物学研究室・山口昭弘教授)

「学内ピノ・ノワールと野生酵母を用いたワイン醸造」

 

 

 

 

 

 

現在、ワインやパンの発酵を担うスターター酵母のほとんどは、酵母“Saccharomyces cerevisiae”を使用しています。優れた汎用性、安定性の点で欠かせない存在となっています。

本研究では、その酵母“Saccharomyces cerevisiae”の親種とされる学内植物材料などから分離された酵母“Saccharomyces paradoxus”に注目し、ワイン醸造においてはどのような発酵特性があるのかを評価しました。

今回は、4種類の酵母を用いて、ワイン醸造を行って比較しました。行者ニンニクの花から2種類の酵母を分離。また、“酵母無添加”と“市販のスターター酵母”も使いました。

結果としては、“Saccharomyces paradoxus”は市販のスターター酵母とほぼ同様のマイルドな風味を示しました。またもう一方の“Candida colliculosa”は、エステル臭と産膜を形成し、渋みを感じさせワイン醸造には単独では適さなかったのですが、他の酵母との併用による効果が期待されます。


西村 壮太さん(食と健康学類4年 応用微生物学研究室・山口昭弘教授)

「学内ブドウ苗のウィルス感染調査と茎頂培養」



 

 

 

 

 

醸造用ブドウ苗の多くがウィルスに感染しており、果実の品質と収量に大きな影響を及ぼしていることがあります、そのため、学内のブドウ苗について「ウィルス感染調査」、またウィルス感染していない苗を培養できるのか確認するため「茎頂培養によるウィルスフリー化」について検証しました。

9種類の主要なウィルスが判定できる試薬を用いて「ウィルス感染調査」をしたところ、学内ブドウ苗には3種のウィルスの存在を確認できました。また、茎頂培養については、継代と、生着までは成功しましたが、苗の育成、ウィルスの検出までは進めることができませんでした。今後は、測定苗数を増やすことと、茎頂培養苗のウィルスフリー化を検証予定です。

 


杉田 倖大さん(食と健康学類4年 応用微生物学研究室・山口昭弘教授)

「ROWP豊沼ヴィンヤード(ブドウ畑)の活動報告」


 

 

 

 

 

昨年度までは、学内のブドウ苗管理・ワイン造りが主な活動でしたが、それに加え、2018年度4月から本学卒業生の高橋さんご指導のもと、砂川市豊沼町のヴィンヤードでの活動がスタートしました。4月から5月にかけては、雪がまだ残る中でしたがブドウ棚の作成、ブドウ苗の結束、釘打ちを行い、6月には芽かき、雑草刈り、添え木立てを実施。7月から8月にかけては番線への設置や結束作業などを進めました。この頃から房がだんだんと大きく立派なブドウが育っていきました。

10月14日は豊沼ヴィンヤードで初めてとなる収穫でした。ブドウ(ソーヴィニヨン・ブラン)は合計867kgで当初の予定より少なかったものの、糖度と酸味のバランスの良いブドウができあがりました。そのまま、岩見沢市栗沢の10Rワイナリーさんへ搬入を行い豊沼産100%のワインの醸造を開始していまして、2019年初夏ごろ完成予定です。

来年度は昨年度の経験を活かし、新体制となって、より良いワインを造れるよう豊沼ヴィンヤードでの活動にも全力で取り組みます。


 ずっとつづくプロジェクトにしたい 学生たちのワイン造りにかける思い

ROWP 学生代表 髙橋 宗一郎(大学院 酪農学研究科 博士課程1年・山口昭弘教授)

2017年、2018年とイタリア留学にて本場のワインづくりを学んだ経験もある高橋さんがROWP発足から3年目を迎えた今年度について語りました。

「率先してかかわっていくよりも、2019年度は後任づくりの気持ちで取り組みました。

1年生の働きが頼もしく、私はサポートを中心にかかわりました。自分たちで、ヴィンヤードの支柱を立てるところから、収穫、ワインのラベル製造まで携われる環境は他ではないと思います。ROWPの最大の魅力です。今回の豊沼ヴィンヤードのように、自分の畑を売るくらいだったらと、かかわってくれたOBの方がいたこともうれしいです。

収穫して楽しいだけではなくて、北海道の寒い春の時期の作業や、夏の暑い時期の栽培の苦労など、一通りワインづくりを見られるというのは、ワインづくりをやりたいという学生にとっては、とても良い経験となります。

今後については、このワイン自体は、大学で生産したブドウは割合として少ないので、ブドウの割合を増やしていきたい。また惰性で、ただ続いていくのではなくて、学生らしく、異なる品種を植えてみることや赤ワイン、樽に入れてみるなどに挑戦していってほしいと思います」


酪農学園大学オリジナルワインプロジェクト