堂地修教授が、日本繁殖生物学会で技術賞を受賞!

Date:2018.09.21

NEWS NO.49(2018年度)

堂地修教授が、日本繁殖生物学会で技術賞を受賞!

9月12日(水)から16日(日)まで長野県信州大学で開催された「第111回日本繁殖生物学会大会」において、本学循環農学類の堂地修教授(家畜繁殖学研究室)が技術賞を受賞し、同学会で受賞者講演を行いました。

 

 

受賞対象となった研究題名は「ウシ胚の直接移植法の開発および胚移植による受胎率向上」です。堂地教授は、農林水産省での勤務時代から、ウシ受精卵の凍結保存技術の簡易化と受胎率向上に取り組んで来ました。1991年には、従来の耐凍剤であるグリセリンとは異なるエチレングリコールを用いた新しい直接移植法と呼ばれる簡易化したウシ受精卵の凍結技術を学会発表し、当時は40%前後だった受胎率よりも高い受胎率(69%)でかつ簡易で実用性の高い方法であることを報告しました。以後20年以上に渡って生産現場に根ざした普及活動を行い、現在では国内で凍結されるほとんどの受精卵にこの方法が用いられています。

 

堂地教授はこの研究ついて「世界の誰もウシではやったことのないこの方法を学会で発表した時は、会場がいっぱいになり大変驚いたことを良く覚えています。ところが、翌年にアメリカのグループがほぼ同じ方法を国際学会で発表して特許を取得し、この方法を用いて来た人々に特許権使用料を請求する動きがあるという話が伝わってきました。幸いなことに、私たちが技術指導していた海外の研究者の一人がアメリカのグループより前に欧州の国際学会で発表していた事実を確認することができました。恐らくそのことが功を奏して、現在に至るまで世界中の人たちが使用料なしにこの技術を使うことができています。

開発した技術を生産現場に普及・定着させるためには、開発の何倍もの時間が必要です。うまく行かないという人たちのところに出向き、現場で何時間もかけて問題点を見つけ、試験を繰り返し、指導を行い、20年を超える活動を続けてきました。今ではこの技術を開発したのが私たちであることを知らずに現場で使っている技術者は多いですが、それが広く普及した証拠だとうれしく感じています。

この技術を開発したきっかけは、20代の時のふとした思いつきと偶然からでした。若い人の発想力は、時として経験ある研究者にはできない思いがけない発見につながります。学生の皆さんには、何かアイディアがあれば、周りの人間がどう言おうととにかくやってみるべきだと話しています。そこから新しいものが産まれてくるからです」と話しました。

 

日本繁殖生物学会の宮野理事長と

表彰状の授与

受賞者記念講演