金子正美教授らが、胆振東部地震による被害状況を示す地図を作製して貢献

Date:2018.09.27

NEWS NO.54(2018年度)

金子正美教授らが、胆振東部地震による被害状況を示す地図を作製して貢献

本学環境共生学類の金子正美教授(環境GIS研究室)、小川健太准教授(環境空間情報学研究室)、小野貴司研究員が、NGOや民間企業の有志とともに「北海道胆振東部地震緊急地図作製チーム(Emergency Mapping Team・・・EMT)」を組み、地震の被害状況を示す地図を作製して厚真町や安平町への無償提供を行っています。  

小野貴司研究員(左)と金子正美教授(右)

  金子教授は、アメリカのデジタルグローブファンデーションと提携し、グーグルマップでも使われているワールドビュー衛星などデジタルグローブ社の衛星画像データの無償提供を受けて環境や農業分野の情報分析に使用しています。この度の震災で厚真町の被害を知った金子教授は、救助活動や復興作業には地図が不可欠と考え、地震直後に同社が撮影した衛星画像を入手し被災地区の解析を進め、その結果を大判31枚とA3版250枚を印刷して9月11日(火)に自ら同町に赴いて手渡しました。また、14日(金)や23日(日)にも同町や安平町に赴いて新たに作製した詳細な地図を渡しました。 これらの地図は「ユニバーサル横メルカトル図法」という国土地理院の地形図で用いている図法で作製されており、これに自衛隊でも使われているUTMグリッドという格子線で区画に分け、使用者たちが現在地や目的地までの距離を把握しやすい工夫がされています。この地図は電力が復旧していない被災地で活用され、救助や復興に大きく貢献しました。また、今後、土砂崩れ発生のメカニズム、二次災害の防止、復興計画の策定などに関する研究を進めていく予定です。   今回の活動に先立ち、本学では小川教授が中心となって農業環境情報サービスセンターや江別市消防本部とともに「EMT江別」を結成して災害訓練を行い、被災状況、避難所や病院の状況等の情報をまとめて地図として可視化する試みを実施してきました。その蓄積が実を結んで、今回の震災での迅速な対応へと繋がりました。   金子教授は「現地では山が崩れたというより『無くなった』と言った方がいいような被害場所もあり、農地や森林が甚大な被害を受けていることが衛星画像からわかります。救助活動を終え、これからは住宅地や林道、農業用水路、沢などの被害状況を正確に把握して、復興作業に取り組んでいかなければなりません。そのために、今後はドローンでの撮影も行い、それらの情報を盛り込んだ地図を作製することで、中長期的に復興支援をしたいと思っています」と話しました。   小野研究員は「地図にグリッドを入れ、細かく番号をつけることで、被災地で自衛隊が活動するために役立てることができました。これまでの研究による知識やノウハウがあったおかげです」と話しました。  

厚真町へ地図を届けました

さらに新しい地図を持参

UMTグリッドを付けた地図

EMT江別 2013年江別市図上訓練

小川健太准教授(左)

自衛隊と共に訓練

   
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