環境共生学類学生2名が 第27回「野生生物と社会」学会北海道江別大会で優秀ポスター賞を受賞

Date:2023.01.23

NEWS NO.59  (2022年度)
環境共生学類学生2名が
第27回「野生生物と社会」学会北海道江別大会で優秀ポスター賞を受賞

昨年1028日~30日に本学にて開催された第27回「野生生物と社会」学会北海道江別大会(大会長:本学佐藤喜和教授)において、本学環境共生学類狩猟管理学研究室4年の上原佐登さんと同研究室の研究生渡邊拓真さん(指導教員:環境共生学類 狩猟管理学研究室 伊吾田宏正准教授)の2名が青年会員対象の優秀ポスター賞を受賞しました。
1月13日に、二人に賞状と副賞が授与されました。

 

上原 佐登さん(環境共生学類 狩猟管理学研究室4年生)

<受賞演題>

「宮古諸島における外来インドクジャクの食性」
 ●上原佐登・亘悠哉・伊吾田宏正

<研究概要>

インドクジャクは、日本では観賞用の飼育個体が逸出し、現在は先島諸島の7島に定着し個体数を増加させている。原産地では雑食で食性の幅が広いことが知られており、宮古諸島では希少爬虫類などへの影響が懸念されている。そこで本研究では宮古諸島のクジャク76個体を対象に素嚢内容物の分析を行い、宮古諸島のクジャクの基礎的な食性と、生態系への影響を明らかにした。その結果、全素嚢内容物の90.6%は葉や種や実などの植物質であり、動物質は7.5%であったことから、宮古諸島のクジャクは植物質中心の雑食性であることがわかった。しかしイワサキクサゼミ168匹が検出されるなど、ほぼ100%が動物質の個体も数個体発見され、動物質に選好性が高い可能性も示唆された。また、宮古諸島固有種のミヤコニイニイゼミや同固有亜種のジャコウアゲハが検出され、本地域の保全条例対象種の捕食者である証拠が得られた。

<受賞コメント>

この度は優秀ポスター賞をいただけて大変光栄です。私は沖縄県出身で、本学に入学を決めたのは地元の外来種問題に興味を持ったのがきっかけでした。
3年でゼミに所属してからは日本では研究例の少ない地元外来種であるインドクジャクを対象に研究を行い、今回学会発表でき、多くの研究者や野生生物に関わる方々に地元の問題を知っていただけたこと、本当に嬉しく思います。卒業後は本学大学院に進学し、さらにクジャクについて研究を深め、将来は外来種問題対策の担い手となれるよう努めていきます。

 


渡邊 拓真さん(狩猟管理学研究室研究生・一般社団法人エゾシカ協会)

2019年3月酪農学研究科修士課程卒業

<受賞演題>

「銃種と射撃姿勢による命中精度比較」
 ●渡邊拓真・松浦友紀子・伊吾田宏正

<研究概要>

シカのシャープシューティングでは、脳を1発で狙撃する高い射撃技術と適切な道具の選択が重要となる。本研究は、猟銃として所持ができる銃種(ライフル銃、ハーフライフル銃、散弾銃)を用いて実射試験を行い、銃種別および射撃姿勢別による命中精度(=集弾半径)の違いを明らかにした。その結果、どの射撃距離においてもライフル銃が最も集弾半径が小さく、ハーフライフル銃、散弾銃の順に集弾半径が大きくなることが示唆された。姿勢別では身体が地面により近いほど、また銃器をバイポッドに依託することで集弾半径が小さくなる傾向があった。シカの脳狙撃に必要な命中精度を集弾半径2.5cm以下とした場合、これをクリアしているのは全ての距離においてライフル銃だけであった。また依託無しでの立射は最も不安定な姿勢であり、頭部狙撃のような精密射撃には適さないと考えられた。

<受賞コメント>

この度は優秀賞に選出いただき大変嬉しく思います。2018年度に本大学院を卒業し、現在も研究生として在籍しつつ、普段はシカの捕獲業務や人材育成に携わっています。本学の野生動物学コースでは、2017年から(一社)エゾシカ協会とのカリキュラム連携により、シカ捕獲認証制度(DCC)の受験資格が得られるようになりました。シカ管理をベースとしていますが、アニマルウェルフェアや安全管理、食肉衛生など他の野生動物管理においても役立つ内容です。野生動物管理の担い手となる在学生のみなさんも是非取得できるようチャレンジしてみてください。


【参考】関連リンク

◆「野生生物と社会」学会
 http://www.wildlife-humansociety.org/taikai/2022/taikai2022.html

【参考】教員・研究室一覧

◇伊吾田 宏正准教授
 狩猟管理学研究室
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9391.html