本学 食と健康学類 金田勇教授が第21回SPring-8産業利用報告会で優秀発表賞を受賞

Date:2025.04.25

NEWS NO.8(2025年度)
本学 食と健康学類 金田勇教授が第21回SPring-8産業利用報告会で優秀発表賞を受賞
2024年09月10日 (火) 、11日 (水)に東京で開催された 「第21回SPring-8産業利用報告会」において、本学食と健康学類の金田勇教授が口頭発表の部で優秀発表賞を受賞しました。
今回、金田勇教授より、発表の内容についてご説明いただくとともに、受賞についてコメントをいただきました。

演題名
「時分割USAXSによるチーズ製造における凝乳挙動の観察」

演題内容
チーズは原料乳に凝乳剤(レンネット)を添加して乳中のタンパク質(カゼインミセル)を数珠つなぎのような形状で網目構造を形成し、そこからホエイを排出後熟成させて製造します。チーズの「食感」につよく影響する力学的特性は、このカゼインミセルを凝固させる工程がきわめて重要になります。カゼインミセルのサイズは数10 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)しかないので、これまではカゼインミセルが凝固する状態を直接観察することはほぼ不可能と考えられていました。今回大型放射光施設SPring8(兵庫県)を使ってカゼインミセルの凝固挙動の直接観察を試みました。SPring8では荷電粒子を光速近くまで加速させ、その進路を磁石で曲げることで高エネルギーの放射光(x線)を得ることができます。このx線を使うことで凝乳過程を数10秒ごとに時分割観察することに成功しました。この成果はチーズ製造における不安定要素の一つであるレンネット凝乳挙動を制御する技術の開発に寄与する基礎的な知見が得られたと考えています。

(本研究はJSPS科研費 22K05496の助成を受けたものです)

 

受賞者である金田勇教授のコメント
ここ数年チーズの物性に関する研究を進めてきて、チーズの「複雑さ」を再認識しながら苦労していました。放射光x線は透過性が高いので透明性が低い食品の構造科学研究にはうってつけの手法ですが、日本ではあまり活用されているとは言い難い状況です。この受賞を機に多くの食品科学研究者がSPring8などの放射光施設にアクセスして独創的な研究が進展することを期待しています。


 

表彰式の様子

金田 勇 教授

 

 



【参考】第21回SPring-8産業利用報告会優秀発表賞について
https://www.jasri.jp/iuss/research_activity/2024/sangyo21_award.html
【参考】金田勇教授(食品物理学ユニット)
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9288.html