大学院修士課程2年井藤千聖さんが「環境科学会(2025年度)」で優秀発表賞を受賞
Date:2025.09.23
NEWS No.56(2025年度)
大学院修士課程2年井藤千聖さんが
「環境科学会(2025年度)」で優秀発表賞・富士電機賞を受賞
9月4日・5日に叡啓大学で開催された「環境科学会(2025年度)」において、本学酪農学研究科酪農学専攻修士課程2年の井藤千聖さん(指導:環境共生学類環境地球化学研究室 吉田 磨教授)が発表した「牛の消化液培養におけるカギケノリ添加のメタン削減効果」について発表を行い、優秀発表賞・富士電機賞をを受賞しました。
<受賞演題>
「牛の消化液培養におけるカギケノリ添加のメタン削減効果」 井藤 千聖
<研究概要>
地球温暖化の進行により、農業分野からの温室効果気体排出が深刻な課題となっている。特に家畜の消化管内発酵によるメタン排出は対策が遅れており、削減手法の確立が急務である。海藻カギケノリに含まれるブロロホルムの抑制効果に注目が集まっているが、日本の乳用牛では研究が進んでいなかった。
本研究では、乳用牛の消化液を用いた培養実験により、カギケノリ添加がメタン放出量に与える影響を評価した。従来のバイアル瓶に代わり専用シリンジボトルを作成し、ガスクロマトグラフで発生ガスを分析した結果、0.5%添加で約94%、1%添加で約99%のメタン削減効果が確認された。消化率は0.5%で促進傾向、1%では明確な相関は見られなかった。これらの結果は、日本の乳牛においてもカギケノリが有効である可能性を示しており、農業分野の温室効果ガス削減に貢献し得ると考えられる。
今後は給与方法や保管条件、肉・乳への影響評価など、実用化に向けた検討が必要である。なお、本研究は株式会社ニッスイおよびルミノロジー研究室との共同研究である。
■井藤 千聖さん(酪農学研究科酪農学専攻修士課程2年) のコメント
このたび、環境科学会年会で優秀発表賞をいただくことができ、研究室としての取り組みが認められたことを、大変嬉しく、光栄に思っております。本研究は、研究室全体で進めてきた共同プロジェクトであり、私自身もその一員として、培養実験・分析・考察に携わってきました。多くの議論と協力のもとに得られた成果が評価されたことに、深く感謝しています。ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後は、得られた知見をもとにさらなる検証と応用可能性の探究を進めてまいります。
■吉田 磨 教授(環境共生学類 環境地球化学研究室)のコメント
牛由来のメタン排出削減に関する共同研究において、学生が主体的に実験計画から発表までを担い、その成果が学会で高く評価されたことを大変嬉しく思います。特に、カギケノリの添加によるメタン削減効果の科学的検証は、地球温暖化対策としても意義深いものです。学生自身が積極的に研究に取り組み、社会に発信する姿勢は今後の研究活動にも重要です。これからも環境負荷低減に資する研究を通じて、
持続可能な社会の実現に向けた教育・研究活動を推進してまいります。
【関連】
◇教員・研究室一覧
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9390.html
◇環境科学会ホームページ
https://www.ses.or.jp/conference/2025conf/