本学研究生の豊島尚章さんが日本哺乳類学会論文賞を受賞
Date:2025.10.10
NEWS NO.67(2025年度)本学研究生の豊島尚章さんが日本哺乳類学会論文賞を受賞
2025年8月22日から25日にかけて酪農学園大学および札幌市教育文化会館を会場に開催された日本哺乳類学会において、本学研究生の豊島尚章さんと、本学環境共生学類の佐藤喜和教授との共著論文が「日本哺乳類学会論文賞」を受賞しました。
豊島さんは2014年度に本学環境共生学類を卒業し、2017年度に本学大学院酪農学研究科酪農学専攻(修士課程)を修了しました。その後も研究生として佐藤教授のもとで継続して研究に取り組んでいます。

日本哺乳類学会 論文賞を受賞した豊島尚章さん
受賞論文のタイトル
「Camera Traps Reveal Variation in Diel Activity Patterns among Different Sex-Age Classes in Brown Bears in Hokkaido」
(カメラトラップを用いたヒグマの性齢階級別日周活動パタンの変化)
研究概要
本研究では、北海道東部の阿寒・白糠地域に97台のカメラトラップを設置し、2016年から2018年にかけて収集された2,183件のヒグマ出現データを解析しました。ヒグマを性別・年齢クラスごとに分類し、季節ごとの日周活動パタンを明らかにしました。その結果、以下のことが明らかになりました。
・春から晩夏にかけて成獣オス・単独メス・子連れメスは主に薄明薄暮性、亜成獣は昼行性を示すこと
・秋にはすべての性齢クラスが夜行性あるいは薄暮性に変化すること
・子連れメスはオスによる子殺しを避けるため、交尾期に日中活動が増える傾向があること
これらの成果は、野生動物の保全や人間活動との共存を考える上で重要な知見となります。

カメラトラップの設置

カメラトラップデータの分析
受賞者のコメント
「このたび、日本哺乳類学会論文賞という大変栄誉ある賞をいただき、身に余る光栄に存じます。本研究は佐藤教授をはじめ、研究室の歴代の学生たち等多くの方々の努力の結晶であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。カメラトラップによる調査は地道で大変な作業の積み重ねですが、その成果が形となり評価いただけたことを大変嬉しく思います。学生時代、大学院、そして現在の研究生として、本学で学び続けてこられた環境に深く感謝しております。研究室には数十年間、教授と学生たちが必死に集めてきた膨大なデータがありますが、これらを活かしていくのも自分たち次第だと考えています。これからも、皆の知恵と身体を使って集めたデータを有効に解析し、素晴らしい論文にできるよう日々学んでいきたいと思います」「多くの方に支えていただき、今回の結果を残すことができとても嬉しく思います。次の目標は日本一です。後悔の無いように、これからも活動を続けていきます。」

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【参考】関連リンク
◆環境共生学類 佐藤喜和 教授
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