本学 獣医学研究科 1年 中村暢宏さんが令和2年度日本学術振興会 特別研究員(DC1)に採用内定

Date:2019.12.17

NEWS NO.83(2019年度)

本学 獣医学研究科 1年 中村暢宏さんが令和2年度日本学術振興会 特別研究員(DC1)に採用内定

令和2年度(2020年度)の日本学術振興会特別研究員の採用内定者が発表され、本学獣医学研究科1年 中村暢宏さん(指導教員 獣医生化学ユニット 岩野英知教授、藤木純平助教)が特別研究員(DC1)に採用されることが内定しました。本学大学院からの特別研究員(DC)の採用は、昨年度から2年連続の採用の快挙となりました。

中村暢宏さん

日本学術振興会の「特別研究員」制度は優れた若手研究者に、その研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として、大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」として採用して支援する制度です。 採用者には、生活費相当の「研究奨励金」、そして、研究費として科学研究費助成事業「特別研究員奨励費」が交付されます。 中村さんは、特別研究員の中で「(2020年4月1日現在)医学、歯学、薬学又は獣医学系の4年制の博士課程第2年次相当」に在学する大学院生が対象となる「DC1」のカテゴリーで「農学・環境学分野」に申請し、採用内定となりました。特別研究員(DC)の採用率は例年20%ほどで推移しており、狭き門といわれております。今後、5月上旬までに正式な採用決定通知が届く予定です。 なお、中村さんは本学獣医学類の卒業生でもあり、大学在学中は岩野教授の指導のもと、主に「バクテリオファージとエンドライシンの溶菌活性」をテーマに研究を行ってきました。今回採用された特別研究員の研究課題「バクテリオファージの細菌叢制御を介した次世代型細菌感染症治療戦略の確立」も大学在学中から取り組んできたテーマの延長に位置しています。大学卒業後は、2年間小動物の臨床医に就いており、その2年間の経験が大学院での研究にも生きているとのことです。臨床医としての現場経験との基礎獣医学の研究とを融合させたバウンダリースパナーとして、そして、臨床も研究もできるリサーチマインドを持つ研究者としてこれからの中村さんの活躍が期待されます。

実験中の様子

今回の採用内定にあたり、獣医学研究科長の桐澤力雄教授と指導教員の岩野英知教授は、それぞれ以下の通りコメントしました。 「獣医学研究科から2年連続でDC1採用内定者が出たということは大快挙です。中村君は学類時代、私の授業科目を歴代最優秀でパスしており当時から注目していました。小動物臨床を2年経験したのち、昨年、本学博士課程を受験し、私は面接試験の責任者として多くの質問を投げかけました。臨床現場と基礎研究をうまく融合する形で自分のオリジナリティーを発揮し、全てに適切に答えていました。その時の博士課程での研究展開には舌を巻くものがあり、学振に応募したら採択になるであろうと思っておりました。それが現実となり大変嬉しく思っております。今後の研究が大きく展開することを祈念するとともに、丁寧にご指導いただいている岩野先生に深く感謝申し上げます。」(桐澤力雄獣医学研究科長) 「中村君は、学生時代の成績も優秀で、主席で卒業しました。その後、研究の道に進むと誰もが思っていましたが、臨床医となりました。その時も驚きましたが、また、研究の道に帰ってきてこの快挙です。今後ますますの活躍を誰もが期待しています。獣医療から人医療への領域まで多くの命を救えるような新しい発見を目指して頑張って行きましょう!」(岩野英知教授)

藤木純平助教、桐澤力雄研究科長、中村暢宏さん、岩野英知教授(左から)

また、中村さんは次のようにコメントしました。 「今回、日本学術振興会の特別研究員に採用されたことは大変嬉しく思います。研究室の岩野教授、藤木助教の日々のご指導の賜物であり、深く感謝しております。抗生物質は細菌感染症に対して非常に有効な薬で、獣医領域においてもよく使われる薬です。しかし近年では薬の効かない薬剤耐性菌の出現が世界中で問題となっており、日本においても実に年間8,000人以上がこの薬剤耐性菌によって命を落としているという報告もあります。そこで、これまでの研究では人間を含む動物には感染せず、細菌のみを倒すウイルスであるバクテリオファージを利用した感染症治療戦略を展開してきました。今後はバクテリオファージの基礎的な知見をより深め、そして日本初の臨床応用を目指していきたいと考えております。研究者でありながら臨床獣医師である自分にしかできないテーマに取り組み、臨床現場に還元できるような研究の一助になれるよう、今後はさらに研究活動に邁進していきたいと思います。」
【参考】 ・本学 獣医学研究科1年中村暢宏さんが第13回細菌学若手コロッセウムで微生態特別賞を受賞  https://www.rakuno.ac.jp/archives/3102.html