竹田 保之

食と健康学類

竹田 保之 たけだ やすゆき

教授

研究室番号
C8-204
取得学位 博士(農学)
研究室・ユニット名① 乳製品製造学
研究キーワード 乳酸菌 スクリーニング 発酵乳製品

生乳に存在する発酵乳製品向け乳酸菌の探索と応用

研究の概要・特徴

 乳酸菌のタンパク質分解作用はチーズの熟成過程における風味発現と組織形成、発酵乳製品における機能性ペプチドの生成さらに乳タンパク質のアレルゲン性の低減など乳製品製造において極めて重要な特性の一つである。

 熟成型チーズではスターター乳酸菌と非スターター乳酸菌の協働的な作用で風味形成が起きていることから、生乳やチーズを分離源として、強いタンパク質分解力や芳香成分生成能を有する非スターター乳酸菌の単離が試みられており、チーズ製造への利用が検討されている。

 生乳には多くの乳酸菌が存在しており、探索源としては興味深い素材である。さまざまな動物乳からタンパク質分解作用を有する乳酸菌を分離する試みは以前より行われている。乳酸菌のタンパク質分解作用はチーズならびに乳を主体とする培地での生育において重要な代謝系である。ある種の乳酸菌はミルク成分のみの培地では生育できないことが知られている。これらの乳酸菌はカゼインの酵素分解物やアミノ酸を添加することで生育が改善されることから、タンパク質分解系に何らかの問題があるものと考えられる。このことはタンパク質分解性が強い乳酸菌はカゼインの分解物の添加が無くてもミルク培地で良好に生育できることを意味している。

 本研究室では乳製品製造に利用可能な特徴ある乳酸菌株の取得を目指し、カゼイン分解物を添加した脱脂粉乳培地と無添加の脱脂粉乳培地での生育を比較することでタンパク質分解作用が強い乳酸菌株のスクリーニングを実施しており、これまでこのスクリーニング系において生乳から分離した600株以上の乳酸菌から複数種のLactococcus属やLactobacillus属の乳酸菌を単離している。

 現在、これらのタンパク質高分解性と思われる乳酸菌のチーズ製造への利用を検討しているとともに、タンパク質高分解性だけでなく、粘質性を発揮する乳酸菌のスクリーニングも実施している。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 乳酸菌は食品製造に古くから使用されている微生物であり、特徴的な機能を有する乳酸菌の探索は非常に有用性が高いテーマである。特徴的な機能を有する乳酸菌とは、これまで知られていない機能を有している乳酸菌だけではなく、従来知られている機能であっても乳製品製造においてより有用な性質を有しているものも当然含まれる。

 何らかの機能性を指標とした初期段階のスクリーニングはアイデア次第でかなり特徴的な乳酸菌の探索は可能であるが、そこから食品製造に利用できるものを選抜することが産業的な利用としては重要である。

 本研究室は生乳を常時扱えるだけでなく、多くの乳製品を製造できる施設を持ち、選抜された乳酸菌を用いた製品製造を容易に行うことができる。さらに、学類内では肉製品や農産物加工を行う研究室との共同研究も可能であり、多くの食品開発研究が可能な環境にあることも大きな特徴となっている。