遠藤大二教授が酪農学園職員表彰されました

Date:2022.09.20

NEWS NO.27(2022年度)
遠藤大二教授が酪農学園職員表彰されました

獣医学類の遠藤大二教授(獣医放射線生物学ユニット)が発明した二つの特許を取得された功績が讃えられ、8月30日に、酪農学園職員表彰されました。

谷山弘行理事長は「遠藤先生は昔から研究熱心で、これまでもいつくかの特許取得をされています。このことは本学園にとっても大変名誉であります」と述べました。
遠藤教授は「私が発明し、ラグランジェとシステム工房エムという二つの企業とともに取得できた特許を表彰いただきまして誠にありがとうございます。私と、出願をともにしていただいた企業にとっては何よりの名誉です。また、特許の取得と企業との連携にあたっては研究支援課の皆様に大変にお世話になりました。この機会にお礼申し上げます」と、あいさつしました。




 

 

 

 

 

 


1列目左から西田丈夫常務理事、谷山弘行理事長、遠藤大二教授、堂地修学長、清澤城次校長                                         2列目左から北岡光彦副学長、髙橋俊彦副学長、廣岡亨副学長、岩井繁和学園事務局長、高山基樹大学事務局長

特許演題1.

「鋳型DNA−プライマー関係性解析装置、鋳型DNA−プライマー関係性解析方法、鋳型DNA−プライマー関係性解析プログラム、鋳型DNA−プライマー関係性評価装置、鋳型DNA−プライマー関係性評価方法及び鋳型DNA−プライマー関係性評価プログラム」

<概要>
 コロナウイルスでよく使われるようになったPCR法に関するもので、人工知能を使ってPCR検査を改善する方法に関する特許です。
PCR検査を作るには、検出しなければならないウイルス等とそれに基づいて作られるプライマーという二つの遺伝子情報が必要で、さらにプライマーを作ったらPCR検査が本当にそのウイルス等を検出できるかを確認する実験が必要になります。
 本特許は、ウイルス等を検出できるかを確認する実験の結果を人工知能に学ばせて、よりよいPCR検査を作る方法に関する特許です。学術的にも認めていただき、2021年にScientifid Reports誌に掲載されました(https://www.nature.com/articles/s41598-021-86357-1)。
 これまで特定のPCR検査の確認のために行っていた実験というのは遺伝子情報という点で共通に使えて、実は一見関係の無いウイルスのPCR結果はトリの性判別のPCR検査の改善にも使えるということも特許技術の研究は示しています。
 たくさんの実験結果を学んで良い人工知能ができれば、実験室で行っていた確認をコンピュータの中で行えるようになりますので、確認作業が数百万倍以上速くなることが期待できます。その結果、PCR法の安心感を高めたり、これまでには使われてこなかった病気の検査に使えるようにできる技術です。

特許演題2.

「設問自動生成プログラム及び設問自動生成装置」

<概要>
 試験問題をまとまった知識から作成する方法に関するもので、いろいろな勉強をする際に、必要項目の記憶を確認するための試験をたくさん自動的に作る技術に関する特許です。
 専門知識を学ぶ際には、表などに整理できる知識と複雑な関係を理解する必要のある知識の、大きく分けて二つのタイプの知識を記憶したり理解したりする必要があります。勉強では、まず、表などに整理できる知識を覚えてから、複雑な関係を理解する必要のある知識を考えると効率良く学ぶことができます。本特許は、二つのタイプの知識のうち、表などにまとめられる知識から自動的に選択問題を作って勉強しやすくする技術です。本特許技術があると、10個の表から、100-200問程度の異なる設問ができますから、記憶を確認する際に、確認用の問題に困ることがなくなります。教育の現場では、重要ポイントを表にまとめて共有して、その表の成り立ちを説明・理解することで、効率良く学んで復習できるというメリットがあります。学生さんには、確実に点が取れる努力があることを、一方、先生方には、課題を解決するための基礎知識を確実につけてもらえることが、実際の講義での利用で示されています。

獣医学類 獣医放射線生物学ユニット 遠藤 大二 教授

 

 一つ目の特許は、長年PCR実験をする中で、私のPCR結果の予想があたるようになったので、それを人工知能にしてPCR検査が失敗するか成功するかをコンピュータで予測する仕組みを作りました。発明者も意外でしたが、そのような人工知能は作られておらず、世界で初めての発明でした。

 二つ目の特許は、講義を受講した学生全員に真剣に勉強してもらいたくて、考案しました。私の科目では、学生は試験に出ることしか興味を持ってくれないので、わかりやすい資料から自動的に大量の試験を準備して、その一部を出題する仕組みを作りました。問題が毎回変わりますから、資料を勉強することが合格の早道になります。結果的に、合格するまで、科目内容を真剣に勉強してくれました。勉強した学生は基礎知識を持っていますから、科目にも興味を持ってくれました。特許は、この方法をシステムとして提供できるようにした技術です。

 一見、全然異なる分野の特許のようですが、共通することは『学び』です。『過去の経験や蓄積された知識を学ぶと良いことがある』という当たり前のことを形にして実感できる、というのが2つの特許の最も重要なコンセプトです。ただ、どちらの特許も基本技術にあたるもので、すぐに商品にはなりません。少しづつ改善して、活用いただける企業を増やしていくよう、発明者として努力して、社会にも酪農学園大学にも貢献していきたいと思っております。

 

 


 

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