本学大学院生および学生の計3名が「第9回乳房炎サマーキャンプ」で各賞を受賞

Date:2025.10.03

NEWS NO.63(2025年度)
本学大学院生および学生の計3名が「第9回乳房炎サマーキャンプ」で各賞を受賞

202599日(火)~10日(水)、神奈川県横須賀市で開催された「第9回乳房炎サマーキャンプ」において、酪農学園大学の大学院生および学生3名が各部門で優秀な成績を収め、表彰されました。
乳房炎サマーキャンプは、将来の乳房炎研究者および産業動物獣医師の育成を目的として、国内の乳房炎研究に携わる5大学の教員と学生が年に一度集まり、研究発表と交流を行う取り組みです。学生同士が最前線の知見を共有し、研究意欲を高める重要な機会となっています。

受賞者一覧

<口頭発表の部>
・優秀賞 大学院酪農学研究科1年 渡辺雄大さん(畜産衛生学研究室)

<ポスター発表の部>
・最優秀賞 獣医学群獣医学類6年 中原秋穂さん(獣医衛生学ユニット)
・町田賞  獣医学群獣医学類6年 横井炉佳さん(獣医衛生学ユニット)

 

研究概要および受賞コメント


<口頭発表の部>
・優秀賞 大学院酪農学研究科1年 渡辺 雄大 さん 
     (指導教員:菊 佳男 教授/畜産衛生学研究室)

【研究テーマ】
「日本型選択的乾乳期治療の選択基準の構築と実用性の検証」

左から菊佳男 教授と渡辺 雄大さん


【研究概要】
乳牛には搾乳を休む「乾乳期」があります。従来は乳房炎の治療・予防のため、乾乳時にすべての牛の乳房へ抗菌薬を投与してきましたが、薬剤耐性の観点から、必要時のみ抗菌薬を用いる選択的乾乳期治療(SDCT)への転換が求められています。本研究では、日本の飼養条件に適した判定基準を作成し、その基準に基づいて抗菌薬を投与する群としない群を比較しました。その結果、一定の条件を満たせば抗菌薬なしでも適切に管理できる乳房が少なくないことが示され、SDCTが国内でも現実的な選択肢であることが明らかになりました。

【受賞の感想】
これまでご指導くださった菊先生、そして多方面で助言と支援をくださった先輩方や同期の皆さまに、深く感謝申し上げます。今後も乳房炎研究をさらに深め、現場への貢献に尽力したいです。


<ポスター発表の部>
・最優秀賞 獣医学群獣医学類6年 中原 秋穂 さん(京都市立西京高等学校 出身)
           (指導教員:樋口 豪紀 教授、権平 智 准教授/獣医衛生学ユニット)

【研究テーマ】
「泌乳誘導下における Mycoplasma bovis 感染がウシ乳腺上皮細胞の乳タンパク質合成に及ぼす影響」

左から獣医学研究科4年今泉法子さん、受賞者の中原秋穂さん、権平智 准教授、樋口豪紀 教授


【研究概要】本研究では、乳牛に大きな経済的損失をもたらすマイコプラズマ乳房炎の病態解明を目的に、原因菌Mycoplasma bovis(M. bovis)がウシ乳腺上皮細胞の乳汁合成に及ぼす影響を評価しました。その結果、M. bovis刺激により乳汁合成の主要経路であるJAK2/STAT5経路が抑制され、β casein発現が菌数依存的に減少することが示されました。

【受賞の感想】
このたびの受賞はご指導くださった先生方や日々支えてくださった仲間のおかげであり、心より感謝申し上げます。今回の経験を糧に、未来の自分のなすべきことや挑戦したいことへ向かう大きな励みにしていきたいと思います。


・町田賞 獣医学群獣医学類6年 横井 炉佳 さん(中京大学附属中京高等学校 出身)
       (指導教員:樋口 豪紀 教授、権平 智 准教授/獣医衛生学ユニット)

【研究テーマ】
Mycoplasma bovis が気管上皮細胞の免疫応答能に及ぼす影響」

左から獣医学研究科4年今泉法子さん、受賞者の横井炉佳さん、権平智 准教授、樋口豪紀 教授


【研究概要】
牛の呼吸器病の一次病原体であるMycoplasma bovis(M. bovis)は、免疫細胞から分泌される炎症物質(セクレトーム)を介して気管上皮細胞の免疫反応を変化させます。本研究では、M. bovis感染と二次感染菌Pasteurella multocidaの重複感染が、炎症性サイトカインの産生や細胞死に与える影響を調べました。結果、M. bovis感染による免疫細胞セクレトームが上皮細胞の炎症反応を促進し、重複感染時にも炎症が強まることが示されました。これにより、複数の病原体と宿主免疫の相互作用が重篤な呼吸器病の発症に関与することが明らかになりました。

【受賞の感想】
このような賞をいただき大変光栄です。ご指導いただいた先生方や支えてくれた仲間に深く感謝申し上げます。今後もこの経験を活かして日々精進していきたいと思います。


【関連記事】

◆2024.10.09「循環農学類畜産衛生学研究室から2名が「第8回乳房炎サマーキャンプ」で優秀賞を受賞」
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/34787.html

◆2024.10.07「大学院獣医学研究科D3の今泉法子さんが 「第8回乳房炎サマーキャンプ」ポスター発表の部で最優秀賞を受賞」
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/34713.html

◆循環農学類 菊佳男 教授(畜産衛生学研究室)
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/14498.html

◆獣医学類 樋口豪紀 教授(獣医衛生学ユニット) 
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9415.html

◆獣医学類 権平智 准教授(獣医衛生学ユニット)
 https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9451.html