井上 誠司

循環農学類

井上 誠司 いのうえ せいじ

教授 循環農学類長

研究室番号
A3-401
取得学位 博士(農学)
研究室・ユニット名 農業政策学
研究キーワード 生乳安定供給 農協の役割 地域農業の維持

北海道における生乳指定団体制度の意義と役割

研究の概要・特徴

 都府県における乳牛飼養戸数の急減に伴い、国内の生乳生産量は減少した。一方で、北海道の生産者がその維持に努めたため、生乳不足は回避されている。本研究では、こうした需給調整を担う北海道における生乳指定団体の意義と役割について分析した。
 北海道の指定団体は主に単価の安い乳製品向け生乳を取り扱っているが、この特性が生産過剰時に長所として表面化し、効力を発揮してきた。つまり、需要が減少傾向にある脱脂粉乳・バター向け出荷を抑制し、反対に需要が増加傾向にある飲用、チーズ、生クリーム向け出荷を促進することで、過剰防止に努めてきたのである。
 また、乳牛飼養頭数に対し人口が多い都府県は、夏の需要期に生乳不足に直面するが、北海道の指定団体が都府県への移出を促進することで、その問題は解消されている。反対に冬の不需要期に過剰となった場合、北海道の大規模乳製品工場に加工を依頼し、生乳の大量廃棄を回避することもできる。
 2018年の制度改変により生産者は指定団体への全量出荷が不要となったが、指定団体は需給調整を行って安定した乳価を形成するだけでなく、同じ系統に属する農協の営農サポート事業の利用も可能にしている。ゆえに、その存在意義は依然としてあると言える。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 新型コロナウイルスの影響で、学校給食が停止となり、インバウンド消費が消滅したことから、2020年4月以降、飲用向け生乳の需要が急減した。しかし、指定団体がそれを脱脂粉乳・バター、チーズ向け等に配分したため、生乳の大量廃棄は免れている。基礎的食料である牛乳・乳製品の安定供給に寄与する指定団体の意義を改めて認識していただきたい。