井上 誠司

循環農学類

井上 誠司 いのうえ せいじ

教授

研究室番号
A3-401

教員・研究室

取得学位 博士(農学)
研究室・ユニット名 農業政策学
研究テーマ 農村にとって有効な農業政策について考察する
学びのキーワード 農業政策農業経済学農村計画地域資源歴史
教育・研究への取り組み 農業政策は農業の基本的な方針を示したものです。各時代、各地域の農業問題に対応して策定されますので、その内容は、時代や対象とする地域によって異なります。本研究室では、現場を重視し、かつ地域固有の特性を踏まえて策定された市町村または農協の農業政策や農業振興計画に注目し、その意義について考察することを主たる研究課題としています。
受験生へのメッセージ 北海道は国内で最もバラエティに富んだ農業が展開する都道府県です。農業は、稲作、畑作、施設園芸、果樹生産、酪農、肉牛生産、軽種馬生産等といった部門に分類されますが、これらはいずれも北海道の基幹部門となります。こうした様々な農業に取り組む現場に近接するといった特長を本学は有しているのです。この長所は道外の大学では持ち得ないものです。農村で様々な体験をしてみたいと考えている皆さま、お待ちしています!

研究シーズ

研究キーワード 生乳安定供給 農協の役割 地域農業の維持
北海道における生乳指定団体制度の意義と役割
研究の概要・特徴

 都府県における乳牛飼養戸数の急減に伴い、国内の生乳生産量は減少した。一方で、北海道の生産者がその維持に努めたため、生乳不足は回避されている。本研究では、こうした需給調整を担う北海道における生乳指定団体の意義と役割について分析した。
 北海道の指定団体は主に単価の安い乳製品向け生乳を取り扱っているが、この特性が生産過剰時に長所として表面化し、効力を発揮してきた。つまり、需要が減少傾向にある脱脂粉乳・バター向け出荷を抑制し、反対に需要が増加傾向にある飲用、チーズ、生クリーム向け出荷を促進することで、過剰防止に努めてきたのである。
 また、乳牛飼養頭数に対し人口が多い都府県は、夏の需要期に生乳不足に直面するが、北海道の指定団体が都府県への移出を促進することで、その問題は解消されている。反対に冬の不需要期に過剰となった場合、北海道の大規模乳製品工場に加工を依頼し、生乳の大量廃棄を回避することもできる。
 2018年の制度改変により生産者は指定団体への全量出荷が不要となったが、指定団体は需給調整を行って安定した乳価を形成するだけでなく、同じ系統に属する農協の営農サポート事業の利用も可能にしている。ゆえに、その存在意義は依然としてあると言える。

産業界等へのアピールポイント(用途・応用例等)

 新型コロナウイルスの影響で、学校給食が停止となり、インバウンド消費が消滅したことから、2020年4月以降、飲用向け生乳の需要が急減した。しかし、指定団体がそれを脱脂粉乳・バター、チーズ向け等に配分したため、生乳の大量廃棄は免れている。基礎的食料である牛乳・乳製品の安定供給に寄与する指定団体の意義を改めて認識していただきたい。